【振り返り】
本プログラムは、EU(欧州連合)が推進する持続可能かつ革新的な農業政策について、日本とEUの関係者が直接意見を交わす貴重な機会となりました。テーマは「EUの視点から見た、持続可能で革新的な農業」。万博開幕直後の4月に続き再び夢洲を訪れた来場者も多く、国際的な食と農業の未来に触れる一日となりました。
開会挨拶では、EU農業・食料担当のクリストフ・ハンセン委員と、日本の滝波宏文農林水産副大臣が登壇しました。両者は、長年にわたる日EU間の信頼関係を背景とした食品貿易や、安全・安心に対する共通の価値観について言及し、2025年5月より施行された有機酒類・有機畜産物の相互輸出入制度にも触れながら、今後の協力深化への期待を表明しました。
第1部では、EU加盟国の農業関係閣僚らが登壇し、地理的表示保護(GI)制度の意義やスマート農業技術の導入事例など、欧州における農業政策の最新動向が紹介されました。環境保護への配慮に加え、経済的持続性や次世代農業人材の育成といった多角的な観点からの発表が行われ、来場者の高い関心を集めました。
続く第2部では、日本市場における欧州食品の展開事例が紹介され、とりわけGI制度の普及とその課題に関する実践的な議論が展開されました。欧州産農産物が日本の消費者にどのように受け入れられているのか、マーケティングやブランディングの視点も含め、具体的な知見が共有されました。
また、EU各国から100名以上の食品関連企業・団体が来日し、会場内ではネットワーキングイベントも開催されました。出展者と日本の流通・小売業関係者が直接交流し、実践的なビジネスの場としても大きな成果を上げました。政策と実務の両面から、多層的な理解と連携が深まった一日となりました。
【会期後の取り組み】
本プログラムを契機として、EUおよび加盟国は、日本市場へのアプローチをより戦略的に強化していく方針です。とりわけ、地理的表示保護(GI)製品の認知度向上に向けた広報活動や消費者教育の充実が検討されています。イベント内でも強調されたように、GI制度の価値を最大限に活かすためには、特産品とその産地との結びつきを消費者に明確に伝えることが不可欠です。
今後は、輸入業者や小売事業者と連携し、店頭での販促キャンペーンやパッケージ表示、POPなどを通じて、GI製品の魅力とその背景にあるストーリーを訴求する取り組みが予定されています。これにより、地域の伝統と品質を消費者に分かりやすく伝え、理解を深めることを目指しています。
また、EU市場における日本の地理的表示製品の認知向上に向けた双方向の取り組みも視野に入れ、相互理解や文化交流を促すイベントの開催も計画されています。
制度面では、2025年5月に施行された有機製品に関する相互認証制度の活用促進に向け、関係機関間での情報共有が進められています。さらに、農業分野における環境技術やデジタルツールの利活用に関する知見交換も行われており、今後の技術協力の基盤づくりが進められています。
加えて、ネットワーキングイベントを通じて生まれた新たなビジネスマッチングの成果を育て、実際の取引や共同プロジェクトへと発展させるためのフォローアップ体制の構築も検討されています。企業および政府機関が連携し、GIや有機認証制度の普及にとどまらず、実践的な市場開拓に向けた協力が一層進むことが期待されています。
大阪・関西万博という国際的な場を活用し、EUと日本のパートナーシップはさらなる深化を見せています。今後も本プログラムの成果を礎に、持続可能な食の未来を共に築いていく取り組みが展開されていくことが期待されます。

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