愛知県美術館(名古屋市東区)で、「歌川国芳うたがわくによし展-奇才絵師の魔力」が4月24日から開催されます。
歌川国芳(1797-1861)は、江戸後期に活躍した浮世絵師の最後の世代に現れました。そして、多種多様な国芳の作品は、それまでの浮世絵に無かった斬新な発想に基づき、浮世絵界に新風を吹き込んだのです。力強いポーズをとる英雄を大胆な構図と派手な色使いで描いた武者絵は、異色の魅力を放ち、国芳を一躍人気絵師に押し上げました。豊かな発想力は三枚続きの大画面を活かした大胆な武者絵や、西洋画法を取り入れた風景画、市井の女性の日常を捉えた美人画、ウィットに富んだ戯画などに存分に発揮されています。
国芳の作品にみられる新奇な表現は、見る者を楽しませる魅力にあふれています。本展では、幅広い画題を手掛けた国芳の武者絵、戯画、美人画、風景画、役者絵に肉筆画も加えた約400件の作品を展示し、国芳の全貌に迫ります。
《相馬の古内裏》弘化2~3年(1845~46)頃、個人蔵[通期展示]
歌川国芳展-奇才絵師の魔力
会場:愛知県美術館(愛知県名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター10階)
会期:2026年4月24日(金)~6月21日(日)
※会期中展示替えあり(前期:4月24日~5月24日、後期:5月26日~6月21日)
開館時間:10:00~17:00、金曜日は20:00まで
(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし5月4日[月・祝]は開館)、5月7日(木)
観覧料:一般 1,800円、大学生 1,000円、高校生 800円
※中学生以下無料
※上記料金で本展会期中に限りコレクション展も観覧可
※心身に障がいのある方とその付き添いの方(1名)は無料
アクセス:
地下鉄東山線・名城線「栄」駅/名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、
いずれもオアシス21連絡通路利用徒歩3分
詳細は、展覧会特設サイトまで。
展覧会のみどころ
くじけぬ絵師根性-役者絵、武者絵
長く続いた下積み時代にくじけず筆力を鍛え続けた国芳。「水滸伝」の英雄たちを描いた30代初め、「武者絵の国芳」としてようやく浮世絵界に名を馳せました。そんな不屈の精神で、幕府の禁令もなんのその。天保の改革により役者や遊女を描くことが禁じられても、奔放な発想力で苦境を乗り越えました。
《本朝水滸伝豪傑八百人一個 天眼礒兵衛》天保2年(1831)頃、個人蔵[前期展示]
《坂田怪童丸》天保7年(1836)頃、個人蔵[通期展示]
《源頼光公館土蜘作妖怪図》天保13~14年(1842~43)、個人蔵[通期展示]
にゃんこ百面相-戯画、美人画
国芳は無類の猫好きでした。猫を美人の引き立て役としてだけでなく、主役として描き出したところが国芳の新境地。リアルな猫から人間に扮した猫まで、実に表情豊かな猫たちがあちこちに登場します。新発見のおもちゃ絵《流行猫の変化》も見逃せません。
《流行猫の変化》天保12~13年(1841~42)頃、個人蔵[通期展示]
《日本駄右ェ門猫之古事》弘化4年(1847)、個人蔵[後期展示]
《山海愛度図会 七 ヲゝいたい 越中滑川大蛸》嘉永5年(1852)、個人蔵[前期展示]
予想外にぶっとんだ構図 武者絵、風景画
国芳が切り拓いたダイナミックな三枚続きの手法は、浮世絵の常識を打ち破りました。画面を貫く巨大クジラや巨漢は見ている人を圧倒します。この構図力は風景画にも発揮され、西洋絵画の表現を用いながら、独特なアングルから捉えた景色も魅力の一つです。
《宮本武蔵の鯨退治》弘化4年(1847)頃、個人蔵[通期展示]
《朝比奈小人嶋遊》弘化4年(1847)、個人蔵[後期展示]
《忠臣蔵十一段目夜討之図》天保2~3年(1831~32)頃、個人蔵[通期展示]
しゃれをきかせて笑いを誘う-戯画
楽しい笑いも機知に富んだ風刺もお手の物。国芳にかかれば猫や金魚、狐に狸などの生き物、ひょうたんや化粧道具のような身近な品々に至るまでコミカルに擬人化され、恐ろしい妖怪も愛嬌たっぷりに。江戸の人々を笑わせた国芳のアイデアには、令和にも響くユーモアが満載です。
《みかけハこハゐがとんだいゝ人だ》弘化4年(1847)頃、個人蔵[前期展示]
《きん魚づくし ぼんぼん》天保13年(1842)頃、個人蔵[後期展示]
《其まゝ地口 猫飼好五十三疋》嘉永元年(1848)頃、個人蔵[通期展示]
歌川国芳のダイナミックな表現は、江戸の空気を鮮やかに伝えながら、現代の私たちの感覚をも刺激します。幕府の厳しい弾圧や自らの下積み時代といった苦境さえも、類まれなる想像力とユーモアで突破していくその姿勢は、時代を超えて見る者に勇気と元気を与えてくれます。本展では、代表的な武者絵から、愛くるしい猫たちが躍動する戯画、さらには新発見の作品まで、約400件という圧倒的なボリュームでその魅力を堪能できます。緻密な描き込みと大胆な構図、そして思わず笑みがこぼれるようなダジャレのセンス。浮世絵という枠に収まりきらない「奇才」の全貌を、ぜひ愛知県美術館の広々とした展示空間で体感してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)

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