こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した原始惑星状星雲「CRL 2688」。

中央の平らな雲から細長いX字形の光と同心円状の輝きが広がる、不思議な光景が捉えられています。

はくちょう座の方向、約1000光年先にあるCRL 2688は、「Egg Nebula(卵星雲)」の別名でも知られています。

ハッブル宇宙望遠鏡が観測した原始惑星状星雲「CRL 2688」、別名「卵星雲」(Credit: NASA, ESA, Bruce Balick (UWashington))【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した原始惑星状星雲「CRL 2688」、別名「卵星雲」(Credit: NASA, ESA, Bruce Balick (UWashington))】

太陽のように比較的軽い恒星が晩年を迎えると、主系列星から赤色巨星に進化して、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。

やがて、ガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになります。

原始惑星状星雲(前惑星状星雲とも)は、惑星状星雲が形成される前の段階にあたる天体です。恒星から放出されたガスが中心星の紫外線に電離されるようになるまでの(宇宙のスケールからすれば)短期間しか存在しないことに加えて、暗い天体であることから、観測には強力な望遠鏡が必要です。

星の光と放出された塵が作り出す光景

この画像でまず目立つのは、中心から上下左右に放たれた力強い4本の光の筋です。NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、これは塵の層の隙間から漏れ出した中心星からの光が、周囲のガスをサーチライトのように照らしている様子を捉えています。

また、中心から同心円状に広がるリング状の構造は、ガスや塵が数百年間隔で周期的に放出されたことで形成されました。画像のオレンジ色で示されている部分は高速で噴出している高温の水素分子で、“サーチライト”の根元に見ることができます。

なお、ハッブル宇宙望遠鏡は卵星雲をこれまでに何度か観測しています。今回公開された画像は、過去のデータと比較するために改めて取得したデータを使って作成されたもので、卵星雲の複雑な構造が鮮明に捉えられています。ハッブル宇宙望遠鏡による継続的な観測を通じて、太陽のような星が最期を迎え、次世代の恒星や惑星の材料となる物質を放出していく過程をより深く理解することが期待されています。

冒頭の画像はNASAやESA(ヨーロッパ宇宙機関)のESA/Hubbleから2026年2月10日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

関連記事参考文献・出典

WACOCA: People, Life, Style.