今回の湯道文化賞各賞は、日本の入浴を「文化」へと発展させる取り組みが評価された5組に贈られた。湯道文化賞を受賞したのは、50年に渡り秘湯の魅力を発信し続けてきた「日本秘湯を守る会」。そのほか、特別賞に「京都府公衆浴場生活衛生同業組合(京都銭湯)」、工芸賞に「牛乳石鹸共進社株式会社」、創造賞に「湯守番頭会」、貢献賞に「アンカーシップパートナーズ/飛鳥Ⅲ」がそれぞれ受賞した。表彰式では各団体の取り組みが紹介され、“湯の文化”をめぐる想いに会場からは大きな拍手が贈られた。

第二部では、京都市&京都府公衆浴場生活衛生同業組合(京都銭湯)と、湯道文化振興会がコラボした『京都銭湯 二十四節気 湯めぐり』のキックオフイベントを開催。トークショーには、京都市長・松井孝治さん、京都銭湯理事長・吉本誠さん、小山薫堂さん、そして二十四節気ステッカーを手がけたニッポン画家・山本太郎さんが、京都の銭湯文化の奥深さを語り合った。

まず最初に小山さんは、「湯道ってどうやったら始められるんですか、どんな作法があるんですかって聞かれるんですけど、“湯道は作法にあらず、湯に向かう姿勢なり”とお話をしています。お湯に浸かりながら時々いろんな方への感謝の気持ちを考えたり、他者のことを慮ったり。その姿勢があれば、湯道ということになります。ご自宅のお風呂に入る時に、今日は感謝する人がいたかなとか考えていただければ、もう立派な湯道入門者です」とコメント。

松井市長は、幼い頃に友人たちと銭湯に通った思い出を振り返りつつ、京都の銭湯に多い「天然地下水のかけ流しは素晴らしい。京都の水文化と銭湯は切り離せない」と語ると、吉本理事長は、「京都の銭湯は水がいいんです」と同意。9割以上が地下水を利用しているという。さらに、京都府内にある銭湯で使える「共通入浴券」は、他府県にほぼ例がない仕組みで、銭湯文化の維持と回遊性の促進に役立っていると教えてくれた。山本さんは「京都で下宿生活を送った学生時代から銭湯に通っていた」と明かす。熊本出身の山本さんにとって、サウナ、薬湯、電気風呂まで揃うバラエティの豊かさに驚いたという。

つきない銭湯談義に花を咲かせつつ、今回の企画『京都銭湯 二十四節気 湯めぐり』を紹介。松井市長が、小山さんから「二十四節気にあわせて銭湯に行く」というアイデアをもらい今回の企画が実現したと感謝を述べると、小山さんは「京都の人は季節に寄り添って暮らしていて、それが魅力だと感じました。柚子湯の他にもお風呂屋さんで季節をもっと感じられたらいいなと思って」と説明すると、観客も深く納得した様子。

そうして生まれた、二十四節気ごとに絵柄が変わるステッカーを集める「二十四節気コース」の他に、京都市内全78カ所の銭湯のスタンプを集める「湯めぐりコース」もあり、どちらも1年間開催されるというから、京都の銭湯がより一層盛り上がりそう!

その後も、ステッカーやスタンプが押せる「二十四節気 湯めぐり帖」を見ながら、「二十四節気コースは絶対に1年かかるけど、湯めぐりコースはすごく早く達成する人が出てきそうじゃない?」「ステッカーを貼らずに取っておきたい人はスタンプを代わりに押してもいいんですね」などなど、和気藹々とした軽妙なトークで、観客も笑ったり拍手したり、楽しいひとときを過ごした。

最後に、小山さんは「ぜひ親子で来ていただきたいなと思います。思えば、僕が初めて知らない大人に叱られ、初めて社会を感じた場所が銭湯でした。騒いで叱られて、他者を慮るということの基礎を学んだ気がします。銭湯は人間力を磨くきっかけにもなりますし、このラリーは日本人としての季節への感受性みたいなものを磨く場にもなるかなと思います」と締めくくった。

1年を二十四節気になぞらえて巡る仕掛けは、京都の季節感と、銭湯が長く支えてきた“生活文化”を体感できるいいきっかけ。近くの銭湯で「二十四節気 湯めぐり帖」(無料)を手に入れて、コンプリートを目指してみては。達成内容ごとに景品も変わるので、詳しくは公式サイトをチェック。スタンプラリーで銭湯をめぐりながら、体も心もポカポカ温まって欲しい。

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