2025年F1第20戦メキシコGPは、189日にぶりに選手権リーダーが交代する節目のレースとなった。マクラーレンの僚友ランド・ノリスがポール・トゥ・ウインを飾り、オスカー・ピアストリは2つ順位を挽回したものの5位にとどまった。結果、残り4戦を前に、ノリスがピアストリに1ポイント差でドライバーズ選手権首位に立った。

スタートポジションのままチェッカーが振られれば、首位陥落が明らかであったにもかかわらず、興味深いことにピアストリの焦点は、その座を守ることではなく、「学びたかったことを学ぶ」ことにあった。

パルクフェルメで拳を突き上げる優勝者ランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of McLaren

パルクフェルメで拳を突き上げる優勝者ランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

ピアストリはレース後、ただでさえ路面のグリップが希薄に感じられる中、前走車両の影響でバランスが乱れ、難しいマネジメントレースを強いられていたと明かした。

「レースを通して終始、誰かの背後を走る状況で、ダーティーエアーに苦しんだ。かなり難しいレースだった」

一方で「でも僕にとって一番大事だったのは、自分が学びたかったことを学ぶことだった」とも打ち明けた。

予選で露呈したドライビングスタイルの課題

前日の予選でピアストリは、ポールのノリスから0.588秒遅れの8番手(決勝は7番手スタート)に沈んだ。この「異例の差」について、チーム代表のアンドレア・ステラは、ドライビング面でのピアストリの課題が露呈したと分析していた。

ピアストリ自身も「昨日のセッションが終わった後、自分のドライビングをかなり大きく変える必要があることが明確になった」と認める。

この問題はアメリカGPとメキシコGPで一気に表面化した。

「ここ2戦は全く違う走り方を強いられた。あるいは、変えるべきなのに変えられなかったと言うべきかもしれない」とピアストリは説明する。

「今年はずっと同じように走ってきたから、この状況に少し頭が追いついていない。クルマなのか、タイヤなのか、それとも他の要因なのか、とにかく今までと違うアプローチを要求されている」

課題は”低グリップ環境”への対応

ピアストリは、メキシコでのレースで意識的にドライビングスタイルを変えてみたと明かし、「その成果があったかどうかを分析してみるつもりだ。もしうまくいけば、次につながるはずだ」と期待を寄せた。

「もしその点で、少しでも進歩できていれば満足だよ」

「もちろん、チームメイトが勝ったレースで5位というのは嬉しくはないけどね」

また、「クルマはしばらく変わっていない。だから問題はクルマじゃない」とも語り、パフォーマンス不振の原因がマシンにないことを強調した。

「ペースがこれだけ違うってことは、明らかにランドの方がそれに容易に対応していて、僕はそうじゃないってことだ」

ジョージ・ラッセル(メルセデス)と順位を争うオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of McLaren

ジョージ・ラッセル(メルセデス)と順位を争うオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

ステラの分析によれば、ピアストリは「グリップを活かして特定のスタイルでクルマを攻めるタイプ」であり、タイヤが摩耗しマシンが滑りやすくなる状況では苦戦する傾向がある。

前戦アメリカGPとメキシコGPは、標高の高さや路面特性、風の影響から、まさにそうした「低グリップ環境」だった。

残り4戦に向けて探った「新しいツール」

首位陥落という事実、そして直近2戦で自身のドライビングスタイルが通用しなかったという現実を前にしてなお、ピアストリは悲観的な様子を見せない。

「重要なのは、それ以外の18レースでは、自分が続けてきた走り方がうまく機能していた、ってことを忘れないことだと思う」とピアストリは強調する。

「自分自身を作り変えるのではなく、ツールボックスに新しいツールを追加するということが大切なんだ」

初のシリーズチャンピオン獲得に向けた分岐点となる可能性もあるこの一戦で、目先の結果にとらわれず、残りシーズンを見据えて“学び”を優先したF1参戦3年目のピアストリの胆力は、ノリスにとっては脅威であり、末恐ろしいとすら言える。

残り4戦、ピアストリが新しい“ツール”を手にした時、再び形勢は大きく動き出すかもしれない。

学びを糧に変える若き挑戦者ピアストリ。次戦サンパウロではどんな走りを見せるのか。F1タイトル争いの主導権争いは、ここからが本番だ。

レース後のピットレーンで談笑する優勝したランド・ノリスとマクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラ、5位オスカー・ピアストリ、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of McLaren

レース後のピットレーンで談笑する優勝したランド・ノリスとマクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラ、5位オスカー・ピアストリ、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

2025年F1第20戦メキシコGPの決勝レースは、ランド・ノリス(マクラーレン)が圧巻のポール・トゥ・ウインを飾り、2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。

インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは、11月7日のフリー走行1で幕を開ける。

F1メキシコGP特集

WACOCA: People, Life, Style.