機関銃「M2」の需要が、ウクライナ戦争の激化に伴い高まっているという。機関銃「M2」の需要が、ウクライナ戦争の激化に伴い高まっているという。Oxana Chorna/Global Images Ukraine via Getty ImagesFNブローニングによると、M2のような機関銃の需要は、ウクライナ戦争の開始以降、倍増しているという。同社の弾薬生産も4倍に増加した。M2は、100年以上にわたって多くの軍隊で使われてきたが、ウクライナがロシアのドローン撃破のために使用したことから、再び注目を集めている。

ベルギー政府が全額出資する大手銃器メーカー、FNブローニング(FN Browning)によると、ウクライナでの戦争をきっかけに、実績のある機関銃への関心が高まっており、第2次世界大戦時代のモデルにまで注目が集まっているという。

2025年における同社の機関銃への世界的な需要と生産量は、ロシアがウクライナに侵攻した2022年と比べて2倍に達すると見込まれている。

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広報責任者で経営委員会メンバーでもあるアンリ・ド・アレンヌ(Henry de Harenne)は、「10年前まで関心を示す国はほとんどなかったが、今では契約が次々と結ばれている」とBusiness Insiderに語っている。

FNブローニングは、ウクライナに直接兵器を販売しているわけではないが、顧客にはアメリカ、イギリス、フランス、ベルギーなどウクライナの同盟国が含まれている。また、オーストラリアやインドなどの非NATO(北大西洋条約機構)諸国にも販売している。

Business Insiderは、重機関銃「ブローニングM2」、汎用機関銃「FN MAG」、軽機関銃「FN Minimi」を製造する同社のヘルスタル工場を訪問した。FN MAGとMinimiはアメリカではそれぞれ「M240」、「M249」としても知られている。

FNブローニングは、M2などの機関銃を毎年数千丁製造している。FNブローニングは、M2などの機関銃を毎年数千丁製造している。FN Browning

世界各地のメーカーもこのような銃器を製造しているが、FNブローニングはNATO向けにこの種の機関銃を大量生産した元祖であり、現在も主要なメーカーだ。

同社はまた、「FN SCAR」などのライフルや、NATO規格の弾薬(5.56mm、7.62mm、12.7mm)も製造している。ド・アレンヌによると、現在の弾薬需要は2022年の4倍を超えているという。

FNブローニングの工場は高度に自動化されており、1人の作業員が3〜4台の機械を稼働させている。FNブローニングの工場は高度に自動化されており、1人の作業員が3〜4台の機械を稼働させている。FN Browningウクライナで再び脚光を浴びるM2

M2は特に、今年のウクライナ防空での活躍により、再び注目を集めている。

機動部隊はこのような重機関銃を民間トラックに搭載し、低速で飛行するロシアのシャヘド攻撃ドローンを撃墜している。だが、ロシア軍は命中を困難にする新たな操縦法を導入している。

ド・アレンヌは、ウクライナの機関銃によるドローンへの攻撃が、世界的な需要増加にどの程度影響しているかは判断が難しいと述べている。ヨーロッパでは、ロシアとの地政学的緊張やアメリカとの関係悪化も、防衛予算増額の要因となっており、2030年までに約9300億ドル(約142兆円)を軍備増強に充てる計画だとしている。

機動部隊は、シャヘドドローンを迎撃するのにM2を用いている。機動部隊は、シャヘドドローンを迎撃するのにM2を用いている。Oxana Chorna/Global Images Ukraine via Getty Images

旧型・新型を問わず、機関銃への関心は確実に高まっているとド・アレンヌは見ており、フランス陸軍が最近、第二次世界大戦時にアメリカ軍が残した古いM2をFNブローニング送ってきたことにもそれが表れていると述べた。

「送られたM2を改修し、新品同様にして保証も付けている」

これまでに2000挺のM2を改修し、フランスに送り返したという。

M2は、アメリカの発明家ジョン・モーゼス・ブローニング(John Moses Browning)によって、ベルト給弾式の重機関銃として1921年に設計された。1945年までに200万挺以上生産され、連合軍に配布された。

M2は、1950年代にはNATO加盟国向けにFNブローニングで大量生産されるようになり、現在でも90カ国以上の近代的な軍隊で運用されている。

M2は三脚に据えて使用する歩兵用の一般的な火器で、固定した位置から敵兵や軽車両に対して猛烈な弾幕を張ることができる。発射速度は毎分600発に達し、約1.6キロ先の標的にも正確な射撃が可能だ。ウクライナは、M2を搭載した地上ロボットの運用も試験している。

M2は改良やアップグレードを重ねつつも、誕生から100年以上が経過している。M2は改良やアップグレードを重ねつつも、設計から100年以上が経過している。FN Browning

ド・アレンヌは、FNブローニングが生産・改修するM2などの機関銃の正確な数については明かさなかったが、毎年数千挺規模にのぼると述べた。

冷戦以来の再武装競争

FNブローニングの2024年の売上高は13億ユーロ(約2300億円)に達した。ただし、これは今年買収したパリ拠点の弾薬メーカー、Sofisportの売上を合算した数値となっている。FNブローニングは2023年の年間売上高を9億800万ユーロ(約1600億円)と報告しており、2022年の9億5600万ユーロ(約1700億円)から5%減少していた。

機関銃の需要が急増したにもかかわらず、年間売上高が横ばいだったのは、COVID-19のパンデミック期に急成長した同社のスポーツシューティング部門の販売が減少したためだと、ド・アレンヌは説明している。

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