フランスの国民議会(下院)は16日、ルコルニュ首相に対する2回の不信任投票を否決した。ルコルニュ氏は、論争の的となっている年金法の施行停止を発表して社会党の支持を取り付け、難局を乗り切った。

  急進左派「不服従のフランス」が提出した最初の不信任決議案は、賛成271票で、首相に辞任を迫るのに必要な289票の過半数に届かなかった。極右「国民連合(RN)」が提出した2回目の決議案は、賛成144票にとどまった。

  リスクの重要な指標であるフランスとドイツの10年債利回り差(スプレッド)は、78ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)でほぼ横ばいだった。先週は89bpを超えていた。主要な株価指数のCAC40指数は一時0.8%上昇し、欧州の他の株価指数を上回るパフォーマンスを示した。

French Premier Sebastien Lecornu Faces Parliament Confidence Vote

不信任投票後のルコルニュ仏首相(10月16日、国民議会で)

Photographer: Nathan Laine/Bloomberg

  社会党議員らは、ルコルニュ氏が定年年齢を段階的に引き上げることを決めた2023年の年金改革法の適用停止を約束したことを受け、今回は政府を支持した。

  だが、年金法の適用停止は、改革を経済政策の象徴としてきたマクロン大統領にとっては大きな政治的代償を伴う。政府試算によると、財政面でも2026年は4億ユーロ(約705億円)、27年には18億ユーロの損失が生じる見込みだ。

  年金と予算の今後の道筋も不透明だ。ルコルニュ氏は、議会の投票を経ずに法案を通す憲法上の規定を適用しない方針を示しており、議員の立法への影響力が大幅に強まる。少数与党はこれまで、議員による過激な提案を封じる手段として、この規定に依存してきた経緯がある。

  社会党はすでに、福祉給付や年金支給の凍結を含む歳出削減策に反発している。ルコルニュ氏を不信任決議で追及しない決定が、首相に白紙委任状を与えるものではないと警告している。

  下院社会党グループのヴァロー代表は、15日のラジオのフランスインフォで「予算の内容を見て判断する。我々は、賛成票を投じる約束はしていない」と述べた。

原題:French Prime Minister Lecornu Survives No-Confidence Motions (1)(抜粋)

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