富士フイルム株式会社は、がん検診を中心とした健診センター「NURA(ニューラ)」のアフリカ初拠点を南アフリカ共和国・ケープタウンに開設することを発表しました。

本拠点は、現地で医療・ヘルスケア事業を展開するThe InUversal Groupが運営を担い、がん検診や生活習慣病検査サービスを提供します。

また、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにも直営拠点を建設中であり、両施設は2025年度内のオープンを予定しています。

非感染性疾患による死亡が増加傾向にある中東・アフリカ地域において、AIと医療機器を活用した高品質な健診サービスを通じ、早期発見と医療の質向上を目指します。

南アフリカ・ドバイで「NURA」新設、アフリカ初進出

富士フイルムは、がん検診を中心とする健診センター「NURA(ニューラ)」の南アフリカ共和国・ケープタウン拠点の開設を決定しました。本拠点は同社にとってアフリカ地域で初の「NURA」センターとなり、現地の医療・美容施設を手掛けるThe InUversal Groupが運営を担当します。

ケープタウンの複合施設「V&Aウォーターフロント」内に設置される予定で、がん検診や生活習慣病検査を中心に、高品質かつ迅速な健診サービスを提供します。

さらに、富士フイルムはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ・ジュメイラ地区にも直営拠点を新設しており、両拠点の開業は2025年度内を予定しています。

南アフリカは南部アフリカ地域の政治・経済の中心であり、一方のドバイは中東・アフリカ地域の物流と経済の要衝です。

これらの地域での展開により、同社は中東・アフリカ市場全体における健診サービスネットワークの基盤を確立し、医療アクセスの向上に貢献していく方針です。


「NURA」ドバイ拠点の外観とエントランス イメージ図(アラブ首長国連邦ドバイ、ジュメイラ)

非感染性疾患の増加と医療人材不足という地域課題

中東・アフリカ地域では、がんや虚血性心疾患などの非感染性疾患(NCDs)による死亡者数が年々増加傾向にあります。特にアフリカでは、2019年から2048年までの間に非感染性疾患による死亡者数が3倍以上に増加すると予測されています(WHO調べ)。

これらの疾患は早期発見・治療によって死亡率や重症化リスクを大幅に減らすことが可能ですが、地域では健診文化が十分に浸透しておらず、医療従事者不足が深刻な課題となっています。

WHOの「World health statistics 2025」によると、2030年までに世界全体で約1,110万人の医療従事者が不足すると予想されており、そのうち約70%が中東・アフリカ地域に集中するとされています。

このような背景のもと、富士フイルムは先進的な医療機器とAI技術を活用した「NURA」による健診サービスを通じて、地域の医療インフラ強化と疾病の早期発見体制の構築を目指しています。


「NURA」南アフリカ拠点のエントランス イメージ図(南アフリカ、ケープタウンの複合施設「V&Aウォーターフロント」内)

AI技術と短時間検査で高品質な健診サービスを提供

富士フイルムは2021年、インドのベンガルールに「NURA」第1号拠点を開設し、新興国を中心とした健診サービス事業を開始しました。その後、インド国内に加えてモンゴル、ベトナム、アラブ首長国連邦へと展開し、着実にネットワークを拡大しています。

「NURA」では、同社のCT・マンモグラフィなどの医療機器や医師の診断を支援するAI技術を活用し、すべての検査と医師による健診結果のフィードバックを約120分で完了できる仕組みを導入しています。

また、結果説明の際には医師が診断画像を用いて視覚的に説明を行うなど、利用者が自らの健康状態を理解しやすい工夫が施されています。

これらの取り組みは利用者から高い評価を受けており、今後も富士フイルムは「NURA」で培ったノウハウを活かし、高品質な健診サービスの拡充を推進する方針です。

医療の質の向上と人々の健康維持・増進を目指し、世界の健診インフラの発展に貢献していくとしています。

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