ウクライナ侵攻を続けるロシアが、経済苦に直面している。西側諸国が発動した経済制裁の一環で、ロシア企業は国際送金システムから締め出された。海外メディアは、その結果、1990年代以来となる「物々交換」に頼らざるを得ない状況になっていると報じている。かつて中国への技術援助を行っていたロシアだが、今や中ロの立場は完全に逆転したようだ――。
1990年代以来の「物々交換」復活
ウクライナ戦争に全力を傾けるロシア。国際的な経済制裁は2022年から続いており、ロシアの経済的地位は目に見えて低下した。
国際銀行間通信協会(SWIFT)は2022年、一部ロシア銀行を国家間の送金ネットワークから排除。これによりロシア企業の取引に大きな影響が出ている。今や物々交換が頼みの綱となった。
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2025年9月26日、ロシア・モスクワのクレムリンで、統一投票日に選出されたロシアの構成主体の首長らとテレビ会議による会合を開催
ロイター通信が9月15日に報じた内容によると、ロシア企業は西側の制裁を回避するため、「昔ながらの物々交換」を復活させている。
ある取引では中国車の輸入にあたり、ロシアは小麦を現物で支払っている。中国のパートナー企業が中国国内で人民元を支払って車を購入し、ロシア企業はルーブルでロシア国内から穀物を調達。その後、両企業が小麦と車を交換した。
ほか、亜麻の種が中国製の家電製品や建築資材と交換された例が2件確認されている。亜麻の種はフラックスシードとも呼ばれ、健康食品として食用されるほか、抽出される亜麻仁油は塗料など工業用途に用いられる。
ロシア税関の声明によると、さらに別の取引では、金属を中国に輸出して機械製品と交換したり、中国が提供するサービスに対して原材料を送付して支払いに充てた例がある。さらに、ロシアの輸入業者がアルミニウムを購入して中国企業へ送り、支払いの代わりとした事例が確認されている。
二次制裁に巻き込まれたくない中国銀行
決済市場の関係者は匿名を条件にロイター通信に対し、「中国の銀行は二次制裁の対象となることを恐れているため、ロシアからの送金を受け付けない」と語った。物々交換のシステムにより、ロシアからの直接的な金銭の受け取りを回避できるという。
ロイター通信が8月18日付で報じた内容では、枠組み構築の経緯が明らかになった。
中国の海南龍盤油田技術有限公司が、制裁を回避する「革新的な協力モデル」を提案。同社のシュー・シンジン氏はカザン・エキスポ・ビジネスフォーラムで、「これは現在の限られた決済条件下で、ロシアとアジア地域の企業に新たな機会を提供する」と主張した。同社は、船舶用エンジンをロシアに送り、引き換えに特殊鋼材やアルミニウム合金を受け取っている。
ロシアは昨年からすでに、中国との物々交換取引について協議していたと、当時の関係者がロイター通信に語った。この人物によると、物々交換は比較的価格設定が容易な金属や農産物の取引を中心に多用されているという。
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