【9月27日 東方新報】9月23日から27日まで上海市で開催された第25回中国国際工業博覧会(通称:中国工博)には、国内外から大勢の来場者が訪れた。

統計によると、2024年における中国の工業付加価値は40.5兆元(約843兆8620億円)、そのうち製造業の付加価値は33.6兆元(約700兆929億円)に達した。中国の製造業付加価値が世界に占める割合は約30%に迫り、総規模は15年連続で世界首位を維持している。

「業界の風向計」と呼ばれる中国工博は20年以上にわたって開催されており、中国製造業の高度化の道筋を示すとともに、国内外の企業交流と協力の場となっている。

上海交大智邦科技(Shanghai SmartState Technology)のブースでは、「スマートエージェント工作機械」が来場者の注目を集めていた。

上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)の教授で、交大智邦のAI+製造主任科学者を務める沈彬(Shen Bin)氏は、精密加工ではおよそ70〜80%の時間と労力が「設計図を工作機械が実行できる加工パスに変換する作業」に費やされると説明した。この重要な工程は、経験豊富な技術者や一部の海外製CAD・シミュレーションソフトに依存してきた。

沈氏によれば、同チームはスマートエージェント工作機械の開発により、従来の技術ルートを大きく変えた。「これまでは人がソフトを操作する必要がありましたが、私たちが開発した機械は、工業分野で精度がミクロン単位に達する『自動運転』のような存在です」と述べる。

従来の多くの大規模言語モデルが人の知識や経験を学習してから推論するのとは異なり、この機械はゼロから探索を始め、物理的現実を反映した「世界モデル」を用いてパスの正否を判断し、誤りを修正する仕組みを備えている。

「例えば、部品表面の赤い部分だけを削り、緑の部分には触れないという課題を与えると、自律的に最も効率的で正確な経路を探し出します」と沈氏は説明した。

この研究は2019年にスタートし、今年ようやく全体の技術ルートを確立。航空エンジン製造など高度な分野で重要部品の加工検証に成功し、良好な成果を得ているという。

また今回の工博では、上海市の初の「中試(試験生産)プラットフォーム」モデルリストが公表され、交大智邦と上海交通大学などが共同で構築する航空エンジン分野の高性能工作機械装備プラットフォームも含まれた。

今年の工博は展示面積が30万平方メートルに及び、世界28か国・地域から3000社以上が出展。AI技術の進展に伴い、ロボット関連展示は一段と盛り上がりを見せた。

節卡ロボット(JAKA)のブースでは、複数のロボットが連携して一つの生産ラインを構築し、ロボット関節の組立工程を実演していた。担当者の劉金明(Liu Jinming)氏によれば、以前は各工程に作業員が必要だったが、現在では関節部品が自動搬送され、所定の位置に届くとロボットが視覚認識と力制御技術を駆使して精密組立を行うという。

さらに、関節部品には精密な内部パーツが含まれており、ロボットがそれを素早く正確に掴み、安定して組み立てるには高い精度と安定性が不可欠だと説明した。

上海を代表するロボット企業の一つである節卡ロボットは、スマート製造技術とソリューションを世界各地のサプライチェーンに提供しており、その製品はトヨタ自動車(Toyota Motar)やシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)といった大手企業の生産ラインで使用されている。同社は日本の名古屋にも製造拠点を構えている。(c)東方新報/AFPBB News

 

WACOCA: People, Life, Style.

Exit mobile version