ゲストハウス連続性的暴行 懲役26年 経営者の男に 岡山地裁判決

ゲストハウス連続性的暴行 懲役26年 経営者の男に 岡山地裁判決

 岡山県里庄町新庄のゲストハウスで起きた連続性的暴行容疑事件で、準強制性交罪などに問われた経営者の男(51)=同町=に岡山地裁は24日、「自らの欲望のみに従い、被害者を都合の良い物として扱った。極めて厳しい非難が向けられなければならない」として懲役26年(求刑懲役28年)の判決を言い渡した。

 弁護側は精神疾患の影響で心神喪失状態だったとして無罪を主張していた。近く控訴する方針。

 判決理由で本村暁宏裁判長は、缶酎ハイやカクテルに睡眠薬を入れ、抵抗が困難な「抗拒不能」の状態にさせるなど犯行態様について「悪質極まりない。ゲストハウスは犯行のために用意した舞台装置だったとすら考えられる」と指摘。被害者感情に触れ「楽しい思い出が悪夢に転じ、精神的苦痛は甚大。『どれだけ時間がたってもなかったことにできない』と述べ、厳罰を求めるのも当然だ」とした。

 弁護側は「精神疾患の幻覚、幻聴で『黒い影』の命令を受け、善悪の区別や行動を制御する能力が失われていた」と主張。これに対し判決は「行為を撮影して被害者の氏名に応じたフォルダに保存するなど、目的達成のために極めて合理的に行動した」とし、完全責任能力を認定した。

 判決では、経営するゲストハウス「Cafe&GuestHouse凸屋(とつや)」や自宅で2018年9月〜22年3月、女性宿泊客ら9人に睡眠薬を入れた酒を飲ませて性的暴行を加えるなどした。22年6月には脱衣所に設置した小型カメラで女性宿泊客1人を盗撮した。

検察側の主張を全面採用 一連の犯行厳しく非難 岡山地裁判決

 ゲストハウスを舞台にした性的暴行容疑事件を審理した岡山地裁は24日の判決で、検察側の主張を全面採用し、男の一連の犯行を厳しく非難した。

 午後2時前、岡山地裁100号法廷。男は上下灰色のスエット、マスク姿で入廷した。弁護人の前に座って一度だけ傍聴席に目をやり、その後は真っすぐ前を向いて判決を待った。

 「女性たちを毒牙にかけていくさまは、目を背けたくなるおぞましさ」「荒唐無稽な弁解に終始し、被害者の心情を傷付け続けている」。本村暁宏裁判長が判決理由を読み上げる間、膝に手を置いて無表情のまま聞き入った。控訴の説明を受けると小さくうなずき、無言で法廷を後にした。

 閉廷後、報道陣の取材に弁護人の福間亙弁護士(岡山弁護士会)は「これまでの主張が受け入れられなかった」と述べた。岡山地検の深野友裕次席検事は「検察官の主張が受け入れられた適正、妥当な判決であると考えている」とコメントした。

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