2025年9月、高知県に上陸した台風15号では、県内外で突風や竜巻が発生し、大きな被害が出ました。
最近の特徴や注意ポイントなどを取材しました。

9月4日、奄美大島の東で発生した台風15号は、5日未明に宿毛市付近に上陸して高知県を横断した後、東に進みました。
台風の中心の気圧は1000ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は18メートルと、過去の台風と比較するとコンパクトでしたが、静岡県で竜巻が発生するなど大きな被害を引き起こしました。

気象庁は9月12日に突風の調査結果を発表し、静岡県の牧之原市から吉田町にかけて発生した突風については「風速は約75メートルと推定され、国内最大級の規模の『竜巻』だった」と発表しました。この竜巻で、車を横転し男性1人が死亡しています。

また、県内でも芸西村で突風が発生していて、これについて気象庁は風速は約35メートルと推定されると発表しました。
人的被害はありませんでしたが、施設園芸のビニールハウスなどに被害が出て、9月5日時点の県のまとめによりますと、安芸市や香南市、芸西村など6つの市町村で被害総額は1700万円余りに上っています。

芸西村和食ではビニールハウスや住宅などが突風被害にあい、所有者によりますと、突風が発生したのは深夜だったといいます。

■突風被害にあったナスの園芸農家・今井強さん
「夜中、寝ゆう時に、もう一段下のハウスの方から連絡があって、ポリが飛んじゅうぞって。 まあハウス見に来たらこの状態と、あとポリが破けちょって、あーあと思うたけんど中身(ナス)が全然無傷やったんでそこら辺は安心しちゅう」

15棟、32アールのビニールハウスでナスを栽培する今井さんはそのうち2棟が骨組みを押しつぶされてひしゃげた状態になり、8棟がビニールが破れるなど全体の3分の2にあたる10棟に被害が出ました。

■今井さん
「(突風被害が)ハウスの南東側から北の方まで行っちゅうわけで、その進路にたまたまあったというか。ここで作りだして45年くらいで初めての出来事で、ちょっとビックリしちゅう。ついに来たかという感じ」

突然発生する突風には打つ手がないと今井さんは言います。

■今井さん
「となりもビニール飛ばされて、この上段もかなり飛ばされてという風に、北へずーっと被害が出てる状況です。どこから突然やってくるかわからん。対策言われてもどんなことしてえいかわからん」

今回の突風の発生要因について、気象台の調査官に聞きました。

■高知地方気象台・井本 忍 調査官
「高知県については台風の接近と上陸にともなって、南から温かく湿った空気が流れ込んで、非常に不安定となったという形。台風を要因として、芸西村の方で突風被害が発生したという形。今回発生した種類については、特定に至らなかったという形であります」

台風などにより発生する突風の発生メカニズムについては。

■井本 忍 調査官「基本的に積乱雲の発生によって突風が発生していますので、その点に注意していただければ。積乱雲発生すると、もちろん雷等もあります。なんで雷注意報には注意していただいて。空がちょっと黒く暗くなってきたという状況になれば、その状況では積乱雲の発生してる可能性がありますので、その点について身の安全を確保するなどしていただければと思います」

つまり、積乱雲があればいつでも突風が起こる可能性はあるということです。
また、井本調査官は今年の台風の発生状況には環境の変化や特徴がみられ、台風か熱帯低気圧かの区別をせず警戒する事が必要だと指摘します。

■井本 忍 調査官
「日本近海の海水温が、平年より高いような状態が今続いている状態で、それが台風の発生につながる1つの要因。熱帯低気圧自体が危なくないわけではないので、風が強い状態が続きますんで。なので、台風になるならないではなく、熱帯低気圧の状態からでも危機感を持っていただければと思う」

地球温暖化により少しずつ変わってきた台風やそれに伴う突風などにどのように備えたらいいのでしょうか。

■井本 忍 調査官
「なかなかその場所がどこで発生するかというのは、特定はなかなかできないので、ちょっと広い範囲になってしまうので、情報自体がなので、もちろんレーダーエコーその辺を見ていただいて、自分のところなんかこう真っ赤なものが出てるなとか見ていただければいいのかなと思う」

これから本格化してくる台風シーズン。気象台では気象レーダーをこまめに確認する事や竜巻注意情報が発表されたら、屋内の窓の少ない部屋に避難してカーテンを閉めるなど対策を呼びかけています。

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