今月に入り3回目となったロシアの北大西洋条約機構(NATO)領空侵犯を受け、エストニアはバルト海上空の追加防空支援をNATO加盟国に要請する見通しだ。

  今回のエストニア領空の侵犯を巡っては、国連安全保障理事会が22日に緊急会合を開いて協議する。この事件を「欧州とNATOの決意を試すより大がかりなロシアの作戦の一部」だとみるエストニアは、NATO第4条を発動した。第4条の発動では協議が招集され、NATOとして協調した行動を打ち出す道を開くことにもなり得る。

  ロシアの領空侵犯は回数が増えている。NATO東部加盟国の間では動揺が広がり、ウクライナ支援に回るNATOの資源の一部をNATO東部地域に引きつけようとするロシアの作戦の一部なのではないかとの懸念を呼んでいる。

  ただ、NATOにとっては、こうした侵犯が続く場合にどこで一線を画すと決めるのかが最大の課題だ。

  いつものように、焦点はより直接的な対応に米国が同調するかどうかだろう。トランプ大統領は19日にホワイトハウスの執務室で記者団に対し、米国の対応について明言を避けた。

  「気に入らない。ああいうことが起きれば大きな問題になり得る。しかし、対応は後で伝える」と述べた。

  ロシアのMiG31戦闘機3機が同日、許可なくフィンランド湾上空のエストニア領空に侵入し、合計12分間飛行を続けたことを受け、NATOはイタリア保有のF35戦闘機に加え、スウェーデンとフィンランドの緊急即応機を発進させた。エストニアのツアフクナ外相は「前例のないほど厚顔無恥」な侵犯だと断じ、「ロシア戦闘機はNATO加盟国の首都、つまりタリンまで数秒の地点まで迫っていた」と明らかにした。

  エストニア議会外交委員会のミフケルソン委員長は、NATOの防空警戒支援を改めて要請するのは「全く適切だ」と述べた。

  欧州連合(EU)の外交安全保障上級代表(外相に相当)で元エストニア首相のカヤ・カラス氏は、この領空侵犯を「極めて危険な挑発行為だ」と指摘した。

  ロシア国防省は戦闘機がエストニア領空に入ったことを否定し、フィンランドと国境を接するロシアのカレリア共和国から飛び地のカリーニングラードまで計画された航路を飛行したと主張した。だが、ロシアがエストニアの領空を侵犯したのは今年に入り4回目で、今月はポーランド、ルーマニアの領空も侵犯した。

原題:NATO Pressured to Respond to Russian Incursions of Its Airspace(抜粋)

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