欧州連合(EU)は19日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの新たな制裁として、2027年1月からロシア産液化天然ガス(LNG)輸入の全面禁止を提案した。当初27年末までに段階的に輸入停止するとしていた計画を1年前倒しした。

  また、取引を全面禁止の対象とするロシアの銀行や金融機関を増やし、ロシアがEUの制裁回避に利用している中国やインドの事業体に対する貿易制限も提案した。

  トランプ米大統領は数日前、EUに対し、ロシアのエネルギー輸出への圧力を強化するよう求めていた。

  EUの執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、ブリュッセルで記者団に対し「ロシアは外交と国際法を完全に無視している。繰り返しエスカレートしているプーチン大統領に対し、欧州は圧力を強めていく」と語った。

  世界のガス市場は、2026年後半から供給過剰に転じると予想されている。このため、ロシア産ガスの段階的廃止が欧州のガス供給に圧力となり、価格高騰を招くリスクは低下するとみられる。

  新たな制裁提案の報道を受け、欧州の天然ガス価格は下落した。ロシア産LNGの海上輸送禁止がより早期に実施されるとの観測が広がったためだ。2026年末にかけ、米国からの供給が増加する見通しも下落要因となった。

  ロンドンのラボバンクでエネルギー戦略を担当するフローレンス・シュミット氏は「EUは米国からの供給が増えることで、ロシア産LNGを失っても大幅な価格高騰を招かずに済むだろう」との見通しを示した。

  新たな制裁パッケージは、ロシアによる対ウクライナ攻撃の激化や、今月のポーランドへのドローン(無人機)侵入に対応したもので、EUはより精緻な対応を示した格好だ。制裁は、加盟国の全会一致による承認が必要となる。

原題:EU Proposes Full Ban on Russian LNG From 2027, a Year Early (1) (抜粋)

(制裁の内容を追加し更新します)

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