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画像説明, 合同軍事演習場に掲げられたロシアとベラルーシの国旗(15日、ベラルーシ・ボリソフ近郊)

2025年9月16日 12:26

スティーヴ・ローゼンバーグBBCロシア編集長(ベラルーシ)

ベラルーシの首都ミンスクから約72キロ離れた広大な野原で、激しい戦闘が展開されている。

爆撃機Su-34が誘導爆弾を投下すると、大爆発が起きる。空は濃い煙で覆われている。

この一帯に、迫撃砲や砲弾の爆発音が響き渡る。攻撃には武装ヘリも加わり、上空では偵察ドローンが被害状況を確認している。

ただし、これは演習にすぎない。

我々を含む外国報道機関は、ベラルーシとロシアの部隊が合同演習を行っているボリソフスキー演習場に招かれた。

これは「ザパド(西方)2025」と呼ばれる軍事演習の一環で、各国大使館が派遣した武官らも観覧台から視察している。

「ザパド2025」は4年ごとに実施される計画的な演習で、2022年には兵士20万人が参加したが、今年の演習はそれより規模が小さい。

ロシアとベラルーシの両政府は、演習は純粋に防衛目的で、ロシアとベラルーシの安全保障を強化し、訪れるかもしれない外部からの脅威に備えるためのものだと主張している。

同じような言い分を、3年半前にも耳にしたのを思い出す。

私は2022年2月にベラルーシを訪れ、「同盟の決意2022」と名付けられたベラルーシ・ロシア合同軍事演習を取材した。演習を終えたロシア軍は帰国せず、そのままベラルーシ領から隣国ウクライナへ侵攻した。

今回の演習についてベラルーシ側は、隠すことは何もないと強調している。

アメリカ、トルコ、ハンガリーを含む23カ国の代表が、今回の軍事演習を視察した。

「今回の演習は、透明性において前例のないものだと考えている」と、ベラルーシ国防相補佐官のヴァレリー・レヴェンコ少将は演習場で記者団に述べた。「我々は誰も脅していない。建設的かつ実務的な対話を望んでいる」。

しかし明らかに、ポーランドのドナルド・トゥスク首相は納得していない。トゥスク氏は「ザパド2025」演習を「非常に攻撃的」なものだと呼び、ポーランドは演習に先立ちベラルーシとの国境を封鎖した。ベラルーシ政府はこれに強く反発している。

Play video, “ロシアとベラルーシが合同軍事演習を公開、欧州へのメッセージか”, 所要時間 1,3001:30動画説明, ロシアとベラルーシが合同軍事演習を公開、欧州へのメッセージか

「ザパド2025」は、東欧地域の緊張が高まる中で実施されている。そしてベラルーシの南側では、ロシアがウクライナでの戦争を終わらせる気配はまったくうかがえない。

ポーランドは今月10日、ロシアのドローンがポーランド領空をわざと侵犯したと非難し、北大西洋条約機構(NATO)は戦闘機を出動させて一部のドローンを撃墜した。

ロシア政府はこれに対し、「ポーランド領内の標的を攻撃するつもりはなかった」と主張した。

ルーマニアも14日、ロシア製のドローンが同国領空に侵入したと発表した。欧州では、こうしたドローンによる領空侵犯は決して偶発的なものではなく、ロシアが欧州首脳やNATOの結束と覚悟を試そうとしての、戦略的行為ではないかと懸念が広がっている。

ロシアとベラルーシは最近、アメリカ政府と関係を改善し、トランプ政権との関係を構築しようとしている。しかし、欧州との関係は依然として緊張状態にある。

ベラルーシ当局が「ザパド2025」演習に外国メディアを招いたことは、二通りに解釈できる。

ひとつは透明性の確保しようとしたのだという説で、ベラルーシ政府はそのように説明している。

しかし、ボリソフスキー演習場で鳴り響いた爆発音と銃声には、西側へのメッセージ、何より欧州へのメッセージも込められているかもしれない。

そのメッセージはもしかすると、「この火力を見て、これがあなたたちの玄関先での光景だったらと考えてみるといい。ロシアとの対決は決して、あなた方の利益にはならない」――という、そういう内容なのかもしれない。

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