欧州連合(EU)は国連が義務付ける気候変動対策の新たな目標を巡り、今月の提出期限までに合意に達することはないと予想されている。その代わり、今後変更する可能性のある暫定目標レンジ提出に向けた草案を作成した。ブリュッセルで7月撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)
[ブリュッセル 15日 ロイター] – 欧州連合(EU)は国連が義務付ける気候変動対策の新たな目標を巡り、今月の提出期限までに合意に達することはないと予想されている。その代わり、今後変更する可能性のある暫定目標レンジ提出に向けた草案を作成した。EUの協議文書をロイターが確認した。
EU加盟国は2040年までの気候変動対策の新たな目標設定を巡る協議が難航。そのため、35年の目標を今月の期限内に国連へ提出する計画が頓挫している。EUは40年の目標に基づいて35年の目標を設定する方針だった。
ロイターが確認したEUの草案によると、EUは現在、35年までに温室効果ガス排出量を1990年の水準から66.3-72.5%削減する「意向表明」を提出することを検討している。
EUは40年の目標で合意に達した後に、35年の最終目標を決定する方針だ。EU加盟各国の大使は16日、この草案について協議する。草案の内容は依然、協議中に変わる可能性がある。
こうした動きには、来週開かれる国連総会でEUが何も提出しない事態を回避する狙いがある。国連のグテレス事務総長は各国に対し、11月に開催される国連気候変動枠組み条約第30回締結国会議(COP30)へ向けた気運を高めるため、自国の気候変動対策目標を発表するよう要請している。
だがEUの最終目標がどの程度踏み込んだ内容になるかは疑問が残り、新たな目標の設定でEUが中国を含む主要排出国より遅れる可能性が高まっている。
協議文書によると、目標範囲の上限は、40年までの温室効果ガス排出量90%削減へ向けた道筋を反映し、下限はEUの既存の30年目標と50年目標を直線で結んで計算される。
ポーランドなどは下限から始まる目標範囲を支持する一方、スペインやデンマークなどはより踏み込んだ目標を求めている。
草案を作成したEU理事会議長国のデンマークはコメントを拒否した。
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