ベセント米財務長官は15日、スペインのマドリードで実施した中国との閣僚級協議で、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を巡る枠組みが合意に至り、米国に所有権を移行する道が開かれたと述べた。米カリフォルニア州カルバーシティで4月撮影(2025年 ロイター/Daniel Cole)
[マドリード/ワシントン 15日 ロイター] – 米国と中国は15日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業売却を巡り枠組みで合意した。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が19日に開催する予定の電話会談で最終確認される見通しという。
ベセント米財務長官はスペイン・マドリードで2日間にわたり開催されていた中国との閣僚級協議後、記者団に対し、売却を巡る商業的な条件は「合意済み」としつつも、詳細を公表する考えはないと述べた。また、17日となっていた売却期限について、最終合意の成立に向け期限が90日間延長される可能性があるとした。
その上で「彼ら(中国の交渉担当者)はアプリの中国的特色がソフトパワーだと考えており、そこに関心を持っている。
われわれが重視するのは中国的特色ではなく、国家安全保障だ」と述べ、合意の商業的な条件が明らかになれば中国側が重視するTikTokの文化的な側面が維持されるとの見方を示した。
ただ、TikTokを運営する中国の字節跳動(バイトダンス)がアプリの基盤技術の管理権を米事業の買い手に移転するかについては明言しなかった。これに関連して中国のインターネット管理当局は、取引にはアルゴリズムを含む知的財産権のライセンス供与が含まれる可能性があるとの見方を示している。
トランプ氏は、中国が同社の株式を保有するかとの記者団の質問に対し、「まだ決定していないが、私にはそのように見える。19日に習主席と話し、確認する予定だ」と述べた。
中国交渉団の李成剛通商交渉官は協議後、TikTokについて双方が「基本的な枠組みでコンセンサス」に達したと述べ、米国とは若干異なる表現を用いて協議内容について説明。米中はTikTokを含む共通の関心事項について率直で建設的、かつ踏み込んだ協議を行ったとし、安定した通商関係が重要との認識を共有したと述べた。同時に、中国はハイテクを巡る問題の政治化に一貫して反対しているとしたほか、中国は合意を得るために企業の利益を犠牲にすることはせず、中国企業の正当な権利と利益を断固として守るとも語った。
これに先立ち、トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に、中国との通商協議が「極めてうまくいった」とし、「米国の若者たちが救いたいことを切実に願っていた『ある』企業について合意に達した」と投稿。「19日に中国の習主席と話をするつもりだ。両国の関係は引き続き非常に強固だ」と述べた。
ベセント長官はインタビューで、TikTok閉鎖の脅威が中国側に合意を促したという認識を示したほか、中国の交渉団が当初、関税などの優遇措置を通じてTikTokの米事業売却に対する「補償」を求めていたと明らかにした。
また関係筋は、合意に至らなければ、19日の米中首脳による電話会談の可能性は「取りやめになっていただろう」と述べた。
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