インド準備銀行(中央銀行)は、米国債の購入を着実に減らし、金の購入を増やしていたことが分かった。これは従来安全資産とされてきた米国債からの分散を進める動きで、トランプ米大統領がインドに対し制裁的な関税を課す以前から始まっていた。

  米財務省の最新データによると、インドの米国債投資額は6月に2274億ドル(約33兆円)と、5月の2353億ドルから減少し、1年前の約2420億ドルからも縮小した。

  インド中銀の統計によれば、同中銀の金保有は昨年7月の841.5トンから今年7月には約880トンに増加した。同中銀は金準備の国内回帰も進めており、最新データでは国内に保有する金塊は512トンと、20年9月の292トンから増えている。

  インドのシタラマン財務相は先週、同国中銀が外貨準備の多様化について「極めて慎重な判断」を行っていると述べた。外貨準備は現在約6940億ドルと、世界で4番目の規模となっている。

  米利下げ観測やキャピタルゲインの期待が背景に、外国勢による米国債保有は6月に過去最高に達していた。一方で各国中銀は、世界的な成長の不透明感から、米ドル保有リスクを減らす目的で金購入を拡大している。

  インダスインド銀行のチーフエコノミスト、ゴーラブ・カプール氏は、2022年にウクライナ侵攻を受けて米国がロシアの外貨準備を凍結したことを踏まえ、地政学的な緊張も中銀判断に影響していると指摘する。

   「米国がロシアの資産を凍結できるのなら、それはどの国に対しても繰り返される可能性がある」と同氏は述べ、「どの中銀も分散を図りたくなるだろう」と付け加えた。

  米国とインドの緊張は8月以降高まっている。トランプ大統領がインドの対米輸出にアジアで最も高い50%の関税を課したためで、その半分はロシア産原油を購入したことへの制裁だった。

  8日は祝日で休業のため、インド中銀はコメント要請に応じなかった。

RBI Boosts Gold Reserves as India’s Treasury Holdings Fall

 

 

原題:India’s RBI Cut US Debt, Bought Gold Even Before Trump’s Tariffs(抜粋)

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