【とやまを撮る】山から街へ あふれる恵み 富山・石倉町 延命地蔵の水

多くの市民に親しまれている延命地蔵の水=富山市石倉町で

 竜の口から水が激しく出てくる。富山市の石倉町延命地蔵の水だ。

 市中心部を流れる「いたち川」沿いには、湧き水が点在する。立派な彫刻を施した本堂を構える地蔵尊が見守る石倉町の湧き水。夜を含め、人々がほぼ途切れることなく、水をくみにやって来る。2002年にノーベル化学賞を受けた田中耕一さんも、子どもの頃に飲んでいたといった話も伝わる。

 近くでたこ焼き店を営む吉田凌晟(りょうせい)さん(77)は「自宅でも使っていて、なくてはならない水。味のことはよく分からないが、多くの人がやってくるのも分かる気がする」と話す。ちなみに店でも、この湧き水を使っているという。

 標高3千メートル近い山々からの雪解け水が、こんな街中にもたっぷりと湧き出て来るとは。100キロに満たない距離で海へ注ぐ急流が数々ある富山県。清らかな水だけでなく、そこから生まれる米や酒、野菜、果物、富山湾の海の幸など、恵みをこれからもたっぷりと味わいたい。(村瀬力)

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