ブラジル最高裁判所は11日、ボルソナロ前大統領に軍事クーデターを企てた罪などで有罪の判決を下し、禁錮27年3月の量刑を言い渡した。2022年の選挙で敗北したボルソナロ被告は、大統領経験者としては初めてこうした罪で有罪となった。
被告が政権を維持しようと企てた軍事クーデターには、現職ルラ大統領の暗殺計画も含まれていた。
判決は判事5人で構成される合議体により下された。4人が有罪に賛成票を投じ、残る1人は全ての罪状で無罪を主張し、裁判の管轄権を欠くとして訴追無効を求めた。最終的にその主張は退けられたが、不服申し立ての場合の根拠になる可能性がある。
量刑は最大43年に達する可能性があったが、ボルソナロ被告が70歳で健康問題を抱えていることを考慮して刑期が決まった。
ボルソナロ被告は無実を主張しており、裁判は政治的な弾圧だと非難している。弁護団は不服申し立てを行う見通し。元国家元首として、服役は通常刑務所ではなく特別施設で行われる権利があるが、場所は未定。
ブラジルのボルソナロ前大統領(9月3日)
Photographer: Sergio Lima/AFP/Getty Images
この事件はブラジルの民主主義にとって歴史的な意味を持つものと、当局は捉えている。同国では過去に十数回ものクーデター未遂が起きている。
判決はブラジル国内外に波紋を広げる可能性が高く、26年の選挙を大きく左右しかねない。またトランプ米大統領からの報復が強まる可能性もある。トランプ政権はブラジル輸出品目の多くに高い関税を賦課し、最高裁判事に制裁を科すなどして、この裁判の中止を訴えてきた。
今のところ、トランプ氏はブラジルに対する追加措置について明確な示唆はしていない。同氏は判決について「裁判を見ていた。彼はブラジルの良い大統領だった」と述べ、「私に対しても同様の試みがあったが、成功しなかった」と付け加えた。
事件の発端は23年1月8日、首都ブラジリアで数千人ものボルソナロ氏支持者が連邦政府の建物に押し入り、大統領に就任したばかりのルラ氏排除を軍に呼び掛けた。ボルソナロ氏と軍人や閣僚を含む7人の側近は、クーデターとその他四つの罪で起訴された。
弁護側は検察が暴動やルラ氏に対する陰謀とボルソナロ被告とを関連付けできておらず、クーデターは実際には実行されなかったと主張した。
ボルソナロ被告は26年の大統領選挙に出馬の意向を示しているものの、22年の選挙前に投票制度へ疑念を示したことで8年間の公職追放処分を受けており、当面の復帰は不可能。
原題:Bolsonaro Sentenced to 27 Years in Prison for Plotting Coup (1)、Bolsonaro Found Guilty in Coup Case by Majority of Top Court (1)(抜粋)
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