公開日時 2025年09月06日 14:32更新日時 2025年09月06日 15:16

 大阪・関西万博で披露された「お熊甲祭」=8月、大阪市此花区の夢洲

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共同通信

 能登半島地震で被災した石川県七尾市の中島町地区で江戸時代から続く「お熊甲祭」が、大阪・関西万博で“復活”した。昨年は地震に続き奥能登地域の豪雨が重なり、中止を余儀なくされたが、住民らの応援を受けて万博への参加を実現。「地震に負けない」と、復興の道を歩む力強い姿を世界にアピールした。

 8月27日、万博会場の屋外アリーナ。てんぐの面を着けた「猿田彦」が会場に入った後、「ほいっさー」という声が聞こえ、30人程度に担がれた高さ約17メートルの四つの赤い旗が登場した。豊年満作の願いが込められた旗を地面と水平になるまで倒す大技「島田くずし」が披露されると、会場から驚きの声が上がった。

 国重要無形民俗文化財のお熊甲祭は毎年9月に開催されてきた。しかし昨年は能登半島地震が発生し、同地区は住宅や神社の鳥居が壊れる被害などが出た。それでも開催に向けて準備を重ねたが、当日朝、豪雨の予報を受けてやむを得ず中止に。新型コロナウイルスの流行などで中止が続き、2023年に4年ぶりに再開したばかりだった。

 いまだに自宅に戻れない人や、地区を離れた人もいる。万博への出場を呼びかけた実行委員会メンバーの丸山善広さん(70)は「地震に負けず、祭りを将来に伝えたいという思いだった」と話す。地域の人たちも寄付金などによって後押ししてくれた。

 人口流出や高齢化で祭りの担い手不足に直面するが、万博には地元住民のほか、県外からのボランティアや地区にゆかりある人々も加わり、約200人が参加。約30分にわたり祭りを披露し、国内外の観客を魅了した。

 「みんなで力を合わせないと重い旗を担げない。祭りが、復興に向け協力しなければならないと教えてくれた」と丸山さん。今月20日には2年ぶりの地元開催を控えており「故郷の自慢の祭りをぜひ見てほしい」と意気込んだ。

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