東京・伊豆諸島の三宅島で火山噴火による全島避難が行われて今月(9月)で25年です。
三宅島の地下深くではマグマの蓄積が進んでいるとみられ、専門家は今後、再び噴火が起こる可能性はあるとして、備えの必要性を指摘しています。
伊豆諸島の三宅島では25年前の2000年に噴火活動が活発になり、大量の火山灰がふもとの集落にたびたび降ったほか、8月29日の噴火で低温の火砕流が海にまで流れ下りました。
こうした状況を受けて9月上旬には防災関係者を除くすべての住民3800人余りが全島避難し、有毒な火山ガスが大量に放出され続けたことで、避難生活は4年5か月に及びました。
その後、火砕流を流すような噴火は起きていませんが、三宅島の火山活動に詳しい東京大学地震研究所の大湊隆雄教授は、地殻変動のデータから三宅島の地下深くでは長期にわたって膨張を示す変動がみられ、マグマの蓄積は進んでいると分析しています。
ことし6月には山頂直下を震源とする火山性地震が増えるなど一時、活動が高まり、大湊教授はマグマが地下深くから上昇してきたものの量が少なかったとして、今後、再び噴火が起こる可能性はあるとしています。
噴火が起きた場合、▽1983年のように山腹から溶岩が流れて集落に向かう場合のほか、▽山頂の火口の中を溶岩が埋める噴火などが考えられるとしています。
また、マグマなどが上昇する過程で地下水と反応すれば、山頂火口などであっても爆発的に噴石を飛ばすような噴火が起きうると指摘しています。
こうしたことを踏まえて大湊教授は、「三宅島の観測網は過去に比べると格段に充実して何かあれば地震や地殻変動の検出はできる。ただ、実際に溶岩などが出てくるまでの時間は短い可能性もあり、常日頃から、逃げるための準備や心構えをしておく必要がある」と話しています。
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