デンマークは欧州連合(EU)でより大きな役割を担いたいと考えるなら、ユーロ加盟を検討すべきだと、同国中央銀行のトムセン総裁が述べた。ユーロ加盟は世界的な混乱から身を守ることにもなるだろうとの認識も示した。
デンマークはユーロに対する固定相場制を採用しているため、マクロ経済的な意味では「既にユーロ圏の一員」だが、ユーロを導入すれば「政策決定にこれまで以上に強く関与」でき、地域協力において「より強固に統合される」と、トムセン総裁はブルームバーグテレビジョンとの4日のインタビューで語った。
「どのような違いが生まれるのかと、疑問に思う人もいるかもしれない。その判断は、デンマークの欧州協力への統合深化を望むかどうかになると思う」と、トムセン氏はコペンハーゲンで指摘。「われわれは全般的なEUの協力に参画しているが、ECBやユーロはその中の極めて重要な部分を占める」と語った。
ユーロ圏には来年1月にブルガリアが加わる。EU加盟国のルーマニアや、非加盟国のモンテネグロなど導入を希望する国も多い中で、デンマークは長きにわたり導入に反対している。
デンマークは1992年にユーロ不参加を選択し、この立場は2000年の国民投票でも再確認された。EU加盟国のうちユーロ不参加は6カ国あるが、デンマークの有権者はユーロ導入に最も懐疑的で、政府はこの問題に触れようとしない。
一方でデンマーク・クローネはユーロに対して上下それぞれ2.5%の狭い変動幅に固定され、金融政策は事実上ECBに従う格好となっている。これにより為替の安定は得られているものの、ユーロ圏の金融政策に影響を及ぼすことは全くできない。
ブルームバーグテレビジョンに話すデンマーク中銀のトムセン総裁
Source: Bloomberg
ユーロ導入は最終的に政治的な決定だとトムセン氏は述べつつ、クローネを固定相場とする現状の制度を「市民の極めて大多数」が支持していると付け加えた。そうであっても、ユーロを導入すれば、変動の激しい環境下で安全を増すことにつながると論じた。
「世界の不確実性が増し、ゲームのルールが不明確になり、誰もがそれを守ると期待できないなら、小国として他者と一緒の方が安全だと考えられるのではないか」と語った。
原題:Denmark Should Consider Euro for Deeper EU Ties, Governor Says(抜粋)
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