死者・行方不明者が88人にのぼった紀伊半島豪雨から14年になる4日、大規模な土砂崩れで8人が亡くなった奈良県五條市で慰霊祭が開かれ、遺族などが祈りをささげました。

14年前の平成23年9月4日の紀伊半島豪雨では、台風の影響で川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、奈良・和歌山・三重の3県で死者・行方不明者があわせて88人にのぼりました。

このうち大規模な土砂崩れが発生して8人が亡くなり、3人が行方不明になっている五條市の宇井地区では、4日、慰霊祭が開かれ、遺族や地元の住民などおよそ50人が参列しました。

慰霊祭は現場近くの体育館で行われ、参列者たちは祭壇の前で黙とうをささげて犠牲者を悼みました。

続いて、五條市の平岡清司 市長が「安全で安心して暮らせるまちづくりが第一の使命と認識し、災害に強いまちづくりに一層まい進し、取り組んでいきます」と追悼の言葉を述べました。

その後、参列者が1人ずつ祭壇に花を手向けて、祈りをささげました。

当時70歳の祖母を亡くした向耕平さんは「何年たっても悲しい気持ちに変わりはありません。これからも参列して祖母に近況報告をしようと思っています」と話していました。

【行方不明者の捜索を指揮した警察官は】
14年前、大規模な土砂災害が起きた五條市大塔町で行方不明者の捜索を指揮した警察官がNHKの取材に応じ、当時の状況を語りました。

天理警察署の山本英二署長は、14年前、「管区機動隊」という都道府県の枠を超えて大規模災害などの現場に派遣される部隊に所属していました。

当時、およそ20人の隊員とともに土砂崩れが発生した十津川村に向かう途中、五條市大塔町で土砂崩れに遭遇したということです。

山本署長はそのまま大塔町で隊の指揮をとり、およそ2か月にわたって、住民の安否確認と行方不明者の捜索を行いました。

当時の状況について山本署長は「よく知っている道だったが、全く面影はなく、がれきの多さと想像を絶する土砂の量に驚いた。流された土砂が積もってダムのようになり、いつ決壊するかわからないため望遠カメラで監視しながら必死に行方不明者を捜した」と振り返っていました。

そのうえで、「災害が発生したときにはとにかく早く避難することが大切だと伝えたい。全国各地で発生している災害をひと事だと思わず、自治体が発信する気象情報に耳を傾けて防災意識を高めてほしい」と話していました。

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