中国は人民元を1ドル=7元を超えて上昇させ、公正な貿易を促進すべきだと米外交問題評議会(CFR)のブラッド・セッツァー上級研究員が主張している。

  米財務省に在籍していたセッツァー氏はインタビューで、中国人民銀行(中央銀行)が最近、元高誘導したにもかかわらず、人民元は「信じられないほど弱い」と指摘。同氏によれば、過去数年の値下がりを補うには、貿易加重ベースで約15%の上昇を要する可能性があるという。

  中国による為替管理は、米中貿易関係における対立点の一つとなっている。米国はこれまで、輸出を促進するため中国が元安を人為的に維持していると非難。

  中国は関税障壁を回避するため第三国を経由する手法に一定程度頼ってきたが、メキシコが中国製品への関税引き上げを計画していることから、この回避策も脅かされつつある。

  「中国は、世界、特に欧州の需要に依存できる限界に達しつつある。これ以上進めば、政治的反発を招く」とセッツァー氏は分析。「元をやや強くする必要があり、政策の再調整が求められている」と語った。

Yuan Remains at Subdued Levels Relative to Other Currencies

 

 

  同氏によると、中国は貿易に過度に依存するのではなく、国内需要の回復に向け「追加の財政出動」が必要。現在のデフレ圧力を踏まえれば、政府は財政赤字の目標を国内総生産(GDP)比で現行の4%ではなく、5-6%に設定すべきだという。

  また、家計への直接的な所得支援や社会保険制度の拡充といった措置によって、内需喚起が可能との見解も示した。

  セッツァー氏と同様の見解を持つアナリストが増えており、同氏は元高をあらためて求めた。元高は、家計の購買力を高めることで中国の成長を後押しし、貿易交渉の支援材料にもなると説明。通貨高と消費主導型の経済が実現すれば、「中国マネーが国内にとどまり、国内への投資を促すことになる。それが最も重要だ」と強調した。

原題:China’s Yuan Is ‘Incredibly Weak’ for Fair Trade, Setser Says  (抜粋)

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