マビーは日本で生まれ育った妻ジュリアとともに、日本に対して特別な親しみを持ってきた。さらに昨年、ししいわハウスが毎年秋に主催する「シェフズ・リトリート」(世界のトップシェフ5人が、軽井沢の壮観な自然環境とダイナミックな建築空間のなかで、創造性と協働を追求するプログラム)に参加したことでその想いはより深いものに。地元の農場訪問、野草採集、森林浴を通じて、新たな視点を得たという。「新しい人々とつながる経験、空気の香り、妻の故郷への愛。これらすべてが私のなかに、新たな愛と彼女の文化に対する深い尊敬と感謝を芽生えさせました」とマビーは語っている。
今回料理を披露するのは、坂茂が手がけたことでも注目を集めるししいわハウス。日本の自然と文化に深く根ざし、持続可能かつ人と環境にポジティブな影響をもたらすべく生み出されたリトリートリゾートだ。アートと建築ツアー、有機農場訪問、オーダーメイドのトレイル体験を提供するなど、現代建築とデザイン・アート、食を融合させ、自然との深い結びつきをもたらすアクティビティでも知られる。
「ししいわハウスのミニマルな建築は、雑音を消し去る完璧な場所でした。建築デザインからインスピレーションが引き出され、料理を創る意味をより深く探求するきっかけになりました」とマビー。コースは10品で、蕎麦の発展の背景にある純水や味噌と古代からの発酵技術の故郷とされる信州・長野のテロワール(土地の特性)独自の解釈で表現する。
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