英国のインフレ率が7月に2カ月連続で上昇し、イングランド銀行(英中央銀行)に対して利下げペースの見直しを迫る圧力が強まっている。
政府統計局(ONS)が20日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.8%上昇し、6月の3.6%上昇からペースが加速し、2024年1月以来の高い伸び率を記録した。上昇要因は航空運賃やホテル、自動車燃料だった。
基調的な物価圧力を示す重要な指標であるサービス価格インフレ率は5%に上昇し、英中銀予想の4.9%を上回った。
発表を受け、ポンドは下げを消し、0.1%高の1ポンド=1.3504ドルを付けた。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのエコノミスト、ラジ・バディアニ氏は、サービス価格と食品価格の上昇により「イングランド銀行内でインフレの持続性に対する懸念が強まる」と指摘。「金融政策委員会(MPC)の複数の委員が厳しい見方を強めることになるだろう。利下げペースが速すぎるとの懸念が示される可能性が高い」と述べた。
8月の利下げ決定は予想以上の僅差で、市場では追加利下げ観測が後退している。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場によると、年内にもう1回利下げが実施される確率は約40%となっている。今月の初めごろには0.25ポイント利下げが完全に織り込まれていた。
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7月の物価統計により、企業が4月に導入された大幅な増税と最低賃金引き上げに対応し、数十億ポンド規模の追加コストを消費者に転嫁していることが鮮明になった。食品インフレ率は4.9%と前月の4.5%から上昇、24年2月以来の高水準となった。
他の経済指標は景気や労働市場が当初の懸念ほど悪化していないことを示しており、中銀に慎重な対応を促す材料が積み重なっている。
政策当局がこれまでの四半期ごとの利下げペースを継続するかどうかを11月に判断するまでに、あと2カ月分の経済データが残されている。
原題:Food and Transport Drive UK Inflation to 18-Month High in July (抜粋)
(第5段落以下を追加します)

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