[キーウ 21日 ロイター] – ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、ロシアがウクライナに対する大規模な攻撃を行ったことは、ロシアが和平に向けた交渉を回避し、戦争を終わらせる意思がないことを示していると非難した。
ゼレンスキー氏によると、前日の夜からこの日にかけてロシアはドローン(小型無人機)574機とミサイル40発を投入してウクライナを攻撃。2022年2月の全面侵攻開始以降で最大級の攻撃に数えられるという。ウクライナ当局によると、少なくとも1人が死亡、22人が負傷した。
今回の攻撃の標的の多くはウクライナ西部に集中。西部ザカルパチア州ムカチェボでは、米電子機器メーカーの貯蔵施設がミサイル攻撃を受けた。ゼレンスキー氏は恒例の夜のビデオ演説で、米企業の施設をロシアが攻撃したことは米国が主導する和平に向けた動きに対するロシアの意図を「象徴的」に示していると指摘。「ロシアは(和平に向けた)交渉の必要性を回避しようとしている。ロシアは大規模な攻撃を続けており、戦争を終わらせる意思はない」と述べた。
ウクライナ当局者によると、この日の攻撃による負傷者の大半は、ザカルパチア州にある米国所有の電子機器メーカー「フレックス」に対する攻撃によるもの。ゼレンスキー氏によると、フレックスは家電メーカー。「ウクライナにある米国の資産を標的にした意図的な攻撃だと考えている」とし、戦争終結に向けた協議でロシアがどう動くか世界が回答を待っているときにこうした攻撃を行うのは「極めて示唆的」だと語った。
ゼレンスキー氏の発言について、ロシアは今のところ反応していない。
ウクライナ当局によると、ロシアによる攻撃で死者が出たのはウクライナ西部のリビウ市。リビウ市では家屋26棟が損壊した。また、ザカルパチア州知事によると、ミサイル攻撃を受けた米電子機器メーカーは消費者向けの電子製品を生産していた。
ウクライナのシビハ外相は「防衛や軍事とは全く関係のない完全な民間施設だ」とXに投稿。「ロシアがウクライナの米企業を攻撃したのはこれが初めてではない。今年に入ってからキーウにある米ボーイングのオフィスを攻撃するなどしている」とし、「ロシアに戦争をやめさせる取り組みが極めて重要なのは、このためだ」と指摘した。
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