S&Pグローバルが21日に発表した8月のユーロ圏HCOB総合購買担当者指数(PMI)は51.1で、7月の50.9から引き続き、景気拡大と縮小の分岐点である50を上回った。アナリスト予想は50.6だった。ユーロ圏の民間部門は、欧州連合(EU)と米国との関税引き上げに関する合意後も、製造業が3年ぶりの低迷から脱し、過去15カ月で最も速いペースの伸びを記録した。

  サービス業は予想通りやや弱含んだものの、製造業は50.5に跳ね上がり、小幅な減速が見込まれていた予想を覆して2022年6月以来初めて50を超えた。

  HCOBのエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「状況は改善している。米国の関税や全般的な不透明感といった逆風にも関わらず、ユーロ圏の企業は比較的うまく対応できているようだ」とコメントした。

  同日発表されたドイツの総合PMIは50.9に上昇し、景気拡大と縮小の分岐点である50を再び上回った。アナリストの予想は50.2への小幅減速だった。製造業の指数は特に力強く、予想を上回る49.9に上昇した。製造業は2022年6月以来となる縮小圏の脱却に近づいている。

  フランスでは、総合PMIは依然として景気拡大の分岐点を下回ったものの、49.8へ上昇し市場予想を上回った。HCOBのエコノミスト、ヨナス・フェルトフゼン氏は「明確な転換点は依然として見えていない」と述べた。「事業活動はいまだ成長の勢いを欠いている」と指摘した。

  今回の結果は、貿易や戦争といった逆風に対する欧州の回復力を示すもので、利下げを急ぐ必要はないとしている欧州中央銀行(ECB)当局者の主張の後押しになりそうだ。

  ラガルド総裁は20日、EU産品に対する米国の15%関税は、6月の経済見通しで想定していた水準をわずかに上回るものの、ECBが想定していた厳しいシナリオを「大きく下回る」との見方を示した。

  ただ、デラルビア氏は「ドイツの堅調な推移は、米国からの駆け込み需要によるものの可能性があり、今は受注減に直面している。フランスは過去数カ月で海外からの需要減からは抜け出したが、新規受注は依然として減少傾向にある」と述べ、今後数カ月で米国の関税の影響が出てくる可能性を指摘した。

英国も上昇

  同日発表された英国の8月の総合PMIは53で、前月の51.5から上昇し、エコノミスト予想の51.6も大きく上回った。4カ月連続で50以上を記録した。労働党による増税の影響から、企業が立ち直り始めていることが示された。

  この水準は、リーブス財務相による増税で企業が自信を損ない、成長見通しが弱まる直前の2024年8月以来の高さだ。特にサービス業が需要回復を報告しており、企業は昨年10月の予算発表以来、経済見通しについて最も楽観的になっている。

  ただし米国の関税が、引き続き英国企業に重くのしかかっている。成長の大部分は、貿易摩擦の影響を比較的受けにくいサービス業がけん引しており、製造業では海外需要の低迷を背景に、新規受注が4月以来最大の減少となった。

原題:Euro-Zone Business Activity Hits 15-Month High Despite Tariffs、German Private Sector Unexpectedly Gathers Pace After Trade Deal、UK Private Sector Grows at Fastest Pace in a Year, PMI Shows(抜粋)

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