<為替> ニューヨーク外為市場では、主要な経済指標の発表がない中、ドルは対ユーロで上昇した一方、対円では下落するなど、方向感を欠く取引となった。

市場では、連邦準備理事会(FRB)が9月16─17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに動くか、米ワイオミング州で開かれる年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でパウエルFRB議長が22日に行う講演が注目されている。

UBS(ニューヨーク)の為替・マクロストラテジスト、ワシーリー・セレブリアコフ氏は 「先週の時点では、9月の会合で約25べーシスポイント(bp)の利下げが決定され、年内にあと2回以上の 利下げが実施されるとの予想が織り込まれていた。このため、パウエル議長がジャクソンホールでの講演で9月の利下げに十分にコミットしていないと受け止められる発言を行えば、市場が肩透かしを食らうリスクがあった」と指摘 。 ただ、 「現時点での予想は9月の会合で約20bp、年内その後に約50bpの利下げを織り込む水準となっているため、(パウエル議長の発言を巡る)リスクはバランスが取れてきている」と述べた。

FRBは前回7月29─30日のFOMCの記事要旨を20日に公表する。ただ、同FOMCは波乱があった7月の雇用統計が発表される直前に開かれたため、現状に即した情報はあまり得られない可能性があるとの見方も出ている。

市場では、ロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた動きにも注目。トランプ米大統領は18日にホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領のほか、欧州首脳との会談を実施。トランプ氏はこの日、ウクライナに対する「安全の保証」の関与について具体的に明らかにしなかったものの、米軍の地上部隊派遣の可能性については改めて否定した。

NY外為市場:

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが低下した。利回りは過去3営業日にわたりほぼ全ての年限で上昇していた。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の行方の手がかりを得ようと、パウエルFRB議長が22日に行う講演が注目されている。

パウエル議長はこれまでも恒例の米ワイオミング州で開かれる年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で行う講演でインフレと闘う姿勢を示すなど、金融政策を巡る自身の考えを伝えてきた。

ブリン・マウアー・トラストの債券部門責任者、ジム・バーンズ氏 は、7月の雇用統計と卸売物価指数(PPI)で労働市場と物価情勢を巡るさまざまなシグナルが発せられたことを受け、パウエル議長が講演で9月の次回連邦公開市場委員会(FOMC)向けてどのようなスタンスを示すのか予想するのは難しくなっていると指摘。「市場では様子見姿勢が強まっている」と述べた。ただ、パウエル議長の講演のトーンはハト派的になるとの見方を示した。

パウエル氏はこれまでのところ、トランプ政権が掲げる関税措置で物価が受ける影響がまだ明確に分からないことを理由に、政策見通しの転換に慎重な姿勢を崩していない。

クロスマーク・グローバル・インベストメンツのチーフ市場ストラテジスト、ビクトリア・フェルナンデス氏は、現在見られている雇用の減速が、需要不足ではなく、関税を巡る不確実性や省力化技術の導入に起因している場合、FRBが利下げを行っても労働市場の状況は改善しないと指摘。利下げは労働市場の一段の悪化に対する「保険」になるとしながらも、「必ずしも万能薬ではない」と述べた。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場はテクノロジー株の売りが重しとなり、ナスダック総合(.IXIC), opens new tabとS&P総合500種(.SPX), opens new tabが下落した。21─23日にワイオミング州ジャクソンホールで開催される年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が注目されている。今年に入り上昇してきた大型株が売られ、ナスダックを押し下げた。半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabは3.5%安と、約4カ月ぶりの大幅な下げとなった。

ジャクソンホール会議は今週の重要イベントで、FRBの経済見通しと金融政策に関する手がかりを探る上でパウエル議長の講演に注目が集まっている。

ハリス・フィナンシャル・グループのマネジングパートナー、ジェームズ・コックス氏は「パウエル氏の発言が現在の市場の想定よりもタカ派的になる可能性を考慮し、市場関係者がジャクソンホール会議を前にやや慎重な姿勢を取っているよう」と指摘した。

LSEGがまとめたデータによると、金利先物市場では年内に2回、各25ベーシスポイント(bp)の利下げが織り込まれており、最初の利下げは9月と予想されている。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨発表などの重要イベントを前に持ち高調 整目的の売りが優勢となり、4営業日続落した。

翌20日午後に発表されるFOMC議事要旨(7月29─30日分)や、21─23日の年次シンポジウム「ジャクソンホール会議」におけるパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控え、ポジション調整目的の売りや利益確定の売りが優勢となった。 また、外国為替市場では、午後にかけて対ユーロでドル買いが優勢。ドル建てで取引される商品の割高感につながり、金相場を圧迫した。

トランプ米大統領は18日、ウクライナのゼレンスキー大統領や欧州首脳とホワイトハウスで会談し、ロシアによるウクライナの侵攻に関して協議した。トランプ氏は将来のウクライナ再侵攻を防ぐ「安全の保証」に米国も関与する方針を確認した。安全の保証については10日以内に文書の形でとりまとめるが、対ロ交渉の行方は不透明感がくすぶって いる。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ロシアによるウクライナ侵攻の停戦実現の可能性に期待が広がる中、対ロ制裁が緩和されるとの見方が強まり、反落した。

トランプ米大統領は18日、ウクライナのゼレンスキー大統領や欧州首脳とホワイトハウスで会談し、ロシアによるウクライナ侵攻に関し協議した。トランプ氏は将来のウクライナ再侵攻を防ぐ「安全の保証」に米国も関与する方針を確認したほか、合間にロシアのプーチン大統領とも電話会談を行い、2週間以内にロシアとウクライナの首脳会談を実施させる考えで一致した。ホワイトハウスでの会談では、停戦を飛び越え包括的和平を目指すべきだと唱えるトランプ氏と停戦を重視する欧州との違いも露呈し、対ロ交渉の行方を巡っては不透明感がくすぶる一方、和平交渉が進展し、ロシア産原油に対する制裁が緩和、 あるいは解除される可能性があるとの楽観的な見方も浮上。需給緩和懸念から相場は終日マイナス圏を軟調に推移した。

また、外国為替市場では対ユーロでドル高が一時優勢となった。ドル建てで取引される 商品の割高感につながり、相場を圧迫する面もあった。

NYMEXエネルギー:

LSEGデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります

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