都市の夜景をテーマにした絵画で注目を集める画家・山崎雅未(やまさき・まみ)の、代表作や最新作約100点の作品を集めた特別展が、宝塚市立文化芸術センターで開かれている。2025年9月15日(月・祝)まで。

『Generative』2024年 キャンパスにアクリル 個人蔵『Generative』2024年 キャンパスにアクリル 個人蔵
『Generative』2024年 キャンパスにアクリル 個人蔵

 目に飛び込んでくるのは、光が舞っているような都市の夜景だ。山崎雅未は、アクリル絵具を何層にも塗り重ね、それをスキージ(版画などでインクを版の上に均一に伸ばすための道具。「窓の結露を取る道具のようなもの」と同センターの山口由香学芸員)で伸ばしたり擦りとったりして描き出す。作品に近づいて見ると、絵具の層・質感がよくわかる抽象画に、離れて見ると都市の姿が浮かび上がる具象画になる。

『Million dollar』2024年 キャンバスにアクリル 株式会社メルコグループ蔵『Million dollar』2024年 キャンバスにアクリル 株式会社メルコグループ蔵
『Million dollar』2024年 キャンバスにアクリル 株式会社メルコグループ蔵

『Generative』2025年 キャンパスにアクリル 個人蔵『Generative』2025年 キャンパスにアクリル 個人蔵
『Generative』2025年 キャンパスにアクリル 個人蔵

 宝塚市立文化芸術センターが建つ場所には、かつて宝塚ファミリーランド(遊園地)があった。大阪府高槻市で生まれ宝塚市で育ったという山崎は、ファミリーランドを訪れる機会もあったという。

 観覧車やジェットコースターが見える『Generative』(4面で構成・☆図1)は、もともと中央部分の2面だけだったが、人工知能(生成AI)が創り出したイメージを基に、両端2枚を今展のために展開・制作した。山崎の幼少期の記憶に、宝塚にはない高層ビル群も描き加えられており、「どこでもないどこか。今展のタイトルのAnywhereです」と山口学芸員は話す。照明にもこだわり、「夜景」を際立たせている。

『Generative』2025年 キャンパスにアクリル 個人蔵(図1)『Generative』2025年 キャンパスにアクリル 個人蔵(図1)
『Generative』2025年 キャンパスにアクリル 個人蔵(☆図1)

 会場には都市の夜景を描いた代表作のほか、山崎が日課のように描いている大量のドローイングが展示され、都市の夜景を描いた絵画とは異なる魅力を放つ。山崎の「豊かなバリエーション」を感じることができる。

『Drawing』2023-2025年 紙に水彩 / 紙にアクリル 個人『Drawing』2023-2025年 紙に水彩 / 紙にアクリル 個人
『Drawing』2023-2025年 紙に水彩 / 紙にアクリル 個人蔵

 この他約10 メートルの鉄板に描かれた『Park』や、「会場で、展示しているまさにこの場所で描いた」という『Anywhere of Takarazuka』は、(宝塚と関わりが深い)すみれやダリアの花や電車から見える風景を思わせる。

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