多久市郷土資料館で企画展

2025/08/12 18:32

戦時下の日常生活がうかがえる写真を展示している企画展=多久市郷土資料館

写真集「郷土のおもかげ」には、出征者家族や村役場の人たちなどを撮影した写真が収められている

 太平洋戦争中、故郷を離れて戦地に赴いた人たちのために作られた慰問写真集を紹介する企画展が、多久市郷土資料館で開かれている。出征者の家族をはじめ、村役場職員や学校の教師、子どもたちの様子を撮影した写真から、戦時下の人々の暮らしをうかがうことができる。9月15日まで。

 戦後80年に合わせて企画し、市内の公民館で発見された各地区の写真集「郷土のおもかげ」から複製した94点を展示している。

 当時は地区ごとに銃後奉公会が組織され、出征者家族の生活扶助などを行っていた。全国的に作られた慰問写真集も活動の一環で、慰問文や日用品とともに慰問袋に入れて戦地に送ったという。

 写真集に掲載された写真は1942~44年に撮影された。忠魂碑の前に並んだ議員や、婦人会の女性の足元にバケツリレーのバケツが置いてある写真などが並ぶ。地区の集合写真では、もんぺではなくスカートをはいておしゃれしたり、戦地の夫に見せるために赤ん坊を抱いたりしている女性も。剣道やなぎなたの練習をする子どもたち、麦刈りを行う女学生、炭鉱の写真もある。

 旧多久5か村(東多久、西多久、多久、南多久、北多久)では、日中戦争と太平洋戦争で1069人が戦没。ほぼ1世帯当たり1人が軍に動員されたと伝わる。同館学芸員の志佐喜栄さんは「終戦直前には空襲もあり、戦争に関係のない人は多久には誰もいなかった。戦争は昔話ではなく、現在と地続きと捉えてもらえたら」と話す。同館は写真に関する情報提供も呼びかけている。

 月曜休館、入場無料。9月13日午後2時から、学芸員による展示解説もある。問い合わせは同館、電話0952(75)3002。(古川浩司)

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