[事例ニュース]
HCI「Nutanix Cloud Platform」を新たに導入
2025年8月8日(金)IT Leaders編集部、日川 佳三
日本赤十字社大津赤十字病院(滋賀県大津市)は、医療情報システムの増加によるIT基盤のキャパシティ不足を解消するため、サーバー仮想化基盤を拡張した。ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の「Nutanix Cloud Platform」を導入し、従来の仮想化基盤と並行運用している。この構成により、障害発生時の業務継続性も確保している。システム提供/導入支援を行ったアライドテレシスが2025年8月8日に発表した。
滋賀県大津市の大津赤十字病院は、ベッド数672床を持つ県内最大規模の中核病院である。基幹災害拠点病院として、24時間365日体制で医療を提供している。2024年には院長直轄のDX推進室を設置し、政府方針の「全国医療情報プラットフォーム」への対応などに取り組んでいる。
「毎月会議で課題を洗い出し、ITを活用して業務改善を図っている」(医療情報課長の橋本智広氏)と、ITへの取り組みが本格化。現在、職員間のコミュニケーション改善を目的としたスマートフォンの導入や、EDR(エンドポイント検知・対処)ツールの導入やランサムウェア対策など、サイバー攻撃に対する情報セキュリティ強化に力を入れている。
同病院では、ITシステムの稼働基盤として、物理サーバー群のほかに、HCI(ハイパーコンバージドインフラ、注1)で構築したサーバー仮想化基盤に、複数の部門システムを集約し運用してきた。しかし、システムの数が年々増えていったためにキャパシティが逼迫し、既存の環境での対応が難しくなっていたという。
注1:HCIを構成する各ノードはストレージを内蔵したPCサーバーで、サーバー仮想化/分散ストレージ管理技術により1つの統合されたインフラとして動作する。ノードの台数を増やすことで処理性能・規模を拡張できる。
図1:大津赤十字病院のITシステム構成(出典:アライドテレシス)
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そこで、既存のインフラを維持しつつ、新たなサーバー仮想化基盤として、ニュータニックス・ジャパンのHCI「Nutanix Cloud Platform」(全4ノード)を導入した。
アライドテレシスの支援の下、今後のシステム増加分をNutanix Cloud Platform上で稼働させてインフラを分散させる方針を定めている。2種類のサーバー仮想化基盤を併用することで、どちらかに障害が発生しても一方で運用を継続できるBCP/DRのメリットも得られるためという。
新しい仮想化基盤のNutanixでは、2025年5月時点で3つの部門システムが稼働している。最終的には、これまで物理サーバー群で動作していた約30システムをNutanixに移行する予定。既存の仮想化基盤と合わせ、約60の部門システムがサーバー仮想化環境で動作する見通しである。
橋本氏は今後の展開について、「既存の仮想化基盤へのノード増設や別ベンダーの仮想化基盤の導入なども視野に入れている。ITを運用していくうえで選択肢が多いことが重要」と説明。状況に応じて適切な手段を選択することで、より安全かつ利便性の高いIT環境の実現を目指す構えである。
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