今、最も求められている能力は何か。ライティング・コーチのソン・スッキ氏は「世界的に注目されているのは文章力が高い人材だ。文章力が高い人は判断力に長けているとみなされ、消費者の心をつかむテキストを作ることもできるからだ」という――。


※本稿は、ソン・スッキ『ハーバードの人生を変えるライティング』(かんき出版)の一部を再編集したものです。


ハーバード大学

写真=iStock.com/APCortizasJr

※写真はイメージです



今求められているのは文章力の高い人材

パンデミックにより、私たちの社会はより深刻なVUCA(Volatility:刻一刻と変わりつづけ、Uncertainty:不確実で、Complexity:複雑で、Ambiguity:あいまいな)の状態に陥った。絶えず新しい環境を築く必要のあるニューノーマル時代では、どんな人が注目されるのだろうか。


ベンチャー起業家のジェームズ・フリードによると、注目されているのは「作家」だそうだ。なぜなら、出社とリモートワークが合わさったハイブリッドワークにおいては社員同士のコミュニケーションが組織の生産性を左右するため、コミュニケーション力に長けた「作家」が重宝されるという。


フリードは、文章力はどんな職種においても競争力になるので、社員にライティングを教えるよりも作家を雇ったほうがよほど有益だと強調する。文章力が高い人は意見がしっかりしていて、共感力がありつつも不要なものを省く判断力にも長けているため、職場や組織で歓迎されるという。


さらに、「作家」は企画やマーケティング分野において重宝される。シンプルで正確な報道資料や商品紹介を書けば、消費者の心をつかんでよく売れるからだ。デジタルマーケティングの専門家、マーク・シェパードも次のように述べている。


「もし私が企業の採用担当者なら、センスある作家を選ぶだろう」


ますます高まる「テキスト」の価値

「作家」は韓国の採用市場でもすでに注目を浴びている。ハンファ証券は文章力が高い人を採用し、顧客向けの報告書の修正を任せている。年々、採用市場で自己PRの比重が大きくなっているのもそれが理由だ。昇進試験でエッセイを書かせたり、SNS経由で人材を発掘したりするのも、文章力が高い人を採用するためだ。


パンデミックで加速したオンライン化は、作家の世界といっても過言ではない。オンライン上で宣伝する製品やサービスには充実した中身が欠かせないが、その中身の初案はテキスト、つまり文章でつくられる。デジタル時代における競争力は文章力だ。


文章を書くことは生計を立てる手段であり、食べていくためには誰もが作家になる必要があるのだ。


WACOCA: People, Life, Style.

Exit mobile version