一歩外に出ると世界はこんなに広く、そこには多彩な暮らしがある。そう思わせてくれる南紀の旅は、国道42号線沿いから始まった。白浜町、すさみ町、串本町、那智勝浦町。海沿いの4つの町を訪ねると海と密接に結びついた、美しく豊かな人びとの暮らしがあった。

今回は、その中から「串本町」の魅力をお届けする。

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アジアで初めて民間ロケットを打ち上げた町
串本の“うまいもん”とは

漁港が点在する串本町の人びとに、おすすめの朝ごはんを聞くと、「〈おざきのひもの〉に行くとええよ」と声をそろえる。

おいしい干物を味わってほしくて、オーナーの尾崎さんが数年前に始めた朝の定食。いまは、串本町にすっかり定着した。味醂干しと塩焼きの2種から選べる朝ごはん。

朝8時に到着すると、すでに数名が店先に並んでいた。店内に入りメニューを見ると「朝ごはん600円」とある。さっそく注文。ほどなくして運ばれてきた朝ごはんは、アジの干物の味醂干し(塩焼きもある)にホカホカの白米、味噌汁、さらに目玉焼きと漬物、これで600円は申し訳ないくらい。アツアツの味醂干しの旨みに、寝ぼけた頭も覚醒する。

創業七十余年の干物店。目の前が漁場のため、獲れたての新鮮な魚からさらに品質のいいものを厳選。魚の旨みを最大限発揮できるミネラル豊富な塩をつかう。

店の代表・尾崎仁一さんは、「ウチは70年以上、ここで干物をつくってるんです。味醂干しのタレは創業当時からの秘伝のタレなんですわ。目の前が漁場やから、獲れたてのええ魚を選んでますよ」と自信満々だ。

毎日こんな朝食を楽しめる地元の人びとをうらやんでいると、尾崎さんから「次はどこに行くんや?」と尋ねられた。「甘いものが食べたいので、〈うすかわ饅頭 儀平〉に向かう予定です」と伝えると、「ああ、あそこか」とニンマリ。尾崎さん自身も、古くからなじみの店なんだそう。

おざきのひもの
和歌山近海で獲れた魚のほか、全国から選りすぐった鮮魚を、職人がすべて手開きで1枚ずつ加工する干物店。店頭には多種多様な干物が並ぶ。買ったらその場で発送できるのも魅力。
東牟婁郡串本町鬮野川1595-7
https://www.ozakinohimono.com

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