〈Unsound Festival〉がついに日本で開催される。2003年にポーランド・クラクフにて誕生した〈Unsound〉は、いまやエレクトロニック・ミュージックと実験音楽に関してはもっとも有名なフェスティヴァルとして知られている。すでに、これまでに30以上の都市で開催されている
日本では初開催となる〈Unsound Festival〉は、2025年9月5日から7日にかけて大阪市内の複数会場で開催される。
以下、その概要を転載するでの、じっくりと読んだうえで9月上旬の予定を組みましょう。詳しくはここ(https://unsound.jp/)。また、さらに詳細がわかったら追加情報を流します。

■9月5日(金)- VS.
公演日時:2025年9月5日(金)※OPEN / START時間は近日発表
会場:VS.(MAP)
チケット:近日販売開始
出演者:
Keiji Haino plays Baschet
Robin Fox presents TRIPTYCH – a homage to Stanisław Ostoja-Kotkowski
Włodzimierz Kotoński Remixed by Jim O’Rourke & Eiko Ishibashi

 〈Unsound Osaka〉の初日は、VS.で開催中の展覧会「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」とのコラボレーションとして実施されます。電子音楽および実験音楽の先駆者たちに敬意を表し、過去と未来をつなぐ一夜となるでしょう。この日のハイライトとして、灰野敬二が、1970年の大阪万博のためにフランソワ・バシェ(François Baschet)が制作した《バシェ音響彫刻》を演奏します。この楽器は、坂本龍一が18歳のときに万博を訪れた際、強い影響を受けたとされるもので、灰野によるバシェの演奏は今回が初披露となります。
続いて、オーストラリアのロビン・フォックス(Robin Fox)が、レーザーと音を駆使した作品《Triptych》を発表。本作はオーストリアのアート/テクノロジー/社会をつなぐ世界的なクリエイティブ機関「ARS Electronica」より冨田勲特別賞を受賞しており、ポーランド系オーストラリア人でありレーザーアートの先駆者でもあるスタニスワフ・オストヤ=コトコウスキ(Stanislaw Ostoja-Kotkowski)の作品に着想を得たものです。レーザープロジェクターによって空間そのものを変容させる、“視覚と音による時空の彫刻”とも言えるこの作品は、記録や再現が不可能な、その場限りの体験となります。
オープニングには、ジム・オルーク(Jim O’Rourke)と石橋英子が登場し、ポーランドの作曲家ヴウォジミエシュ・コトニスキ(Włodzimierz Kotoński)の楽曲のライブリミックスを披露。コトニスキは20世紀ポーランド音楽の中でも特に急進的な存在であり、テープ音楽、ライブエレクトロニクス、シンセ音楽、コンピュータ音楽の先駆者として知られています。出演する二人にとっても特別な存在である作曲家の作品に、新たな解釈が加えられます。 

■9月6日(土)- CREATIVE CENTER OSAKA
公演日時:2025年9月6日(土)OPEN / START: 15:30
会場:クリエイティブセンター大阪(MAP)
チケット:ZAIKOにて販売中
出演者:
Hania Rani presents Chilling Bambino
∈Y∋ & C.O.L.O
2K88 – Live feat. ralph
ralph
Rai Tateishi(Live Processing by Koshiro Hino)
KAKUHAN & Adam Gołębiewski
FUJI|||||||||||TA & Ka Baird
RP Boo & Gary Gwadera
Unsound Osakaの2日目のプログラムは、大阪市湾岸部の住之江区北加賀屋に位置する名村造船所大阪工場跡地に設立されたクリエイティブセンター大阪を舞台に開催されます。現在この場所は、クリエイティブなアートコンプレックス兼イベントスペースとして活用されており、本プログラムでは実験音楽、アンビエント、クラブ、ラップなど多彩なジャンルを横断するプログラムが展開されます。
会場には3つのステージが登場し、「STUDIO PARTITA」「Black Chamber」、そして屋外DJステージが設けられます。
STUDIO PARTITAでは、ポーランドのピアニスト/作曲家ハニア・ラニ(Hania Rani)が、ピアノとエレクトロニクスを組み合わせた新作《Chilling Bambino》を披露。また、大阪の伝説的存在である∈Y∋が、C.O.L.OとのA/Vショーをします。さらに、ポーランドのプロデューサー2K88が、自身のアルバム『SHAME』をベースにしたセットを披露し、日本のヒップホップ・シーンで着実に評価を高める注目のラッパーのralphがゲストとして登場、その後はralph自身によるエネルギッシュなソロセットも行われます。オープニングは日本の伝統的な竹笛・篠笛を中心に展開される立石雷による演奏に、日野浩志郎によるライブプロセッシングを組み合わせた最新パフォーマンスが披露されます。
Black Chamberでは、Unsoundが実現した新たなコラボレーションが展開されます。日野浩志郎と中川裕貴によるデュオKAKUHANが、ポーランドの打楽器奏者 アダム・ゴワビエフスキ(Adam Gołębiewski)と共演し、ニューアルバム『Repercussions』をリリース。さらに、日本のサウンドアーティストFUJI||||||||||TAと、ニューヨークのアーティスト カー・ベアード(Ka Baird)が空気、圧力、呼吸、ノイズを活用したパフォーマンスを披露します。また、シカゴのフットワーク創始者アールピー・ブー(RP Boo)が、ポーランドのドラマー ゲイリー・グワデラ(Gary Gwadera)と共演します。
屋外ステージには、大阪のローカルDJたちが登場予定で、Black Chamberの追加出演者も近日中に発表される予定です。

■9月7日(日) – 大槻能楽堂
公演日時:2025年9月7日(日)OPEN 17:15 / START 18:00
会場:大槻能楽堂(MAP)
参加方法:入場無料 ※ご参加いただくには、ZAIKOでの登録が必須となります。
出演者:
Antonina Nowacka
Raphael Rogiński plays John Coltrane and Langston Hughes
Jim O’Rourke, Eiko Ishibashi & Piotr Kurek

 1935年に開館した大槻能楽堂。この日は、その静謐な空間を活かしたコンサート・シリーズの舞台となります。プログラムには、世界的に高く評価されているポーランド人アーティスト3組が登場し、そのうちの1組は、石橋英子とジム・オルーク(Jim O’Rourke)との特別な初共演を披露します。
最初に登場するのは、アントニーナ・ノヴァツカ(Antonina Nowacka)。時間の感覚を引き延ばし、言語・音・霊性の境界を曖昧にする「見えない世界へのポータル」と形容される、彼女の卓越した歌声を中心に展開されます。これまでに発表されたソロ作品『Sylphine Soporifera』や、ソフィ・バーチ(Sofie Birch)とのコラボレーションアルバムでも高く評価されています。
続いて登場するのは、ポーランドの作曲家/演奏家/即興音楽家 ラファエル・ロジンスキー(Raphael Roginski)。フォークやブルース、ジャズ、クラシックなどを横断しながら、ソロ演奏と録音で世界で最も独自性のあるギタリストのひとりとして評価されています。Unsound Osakaでは、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の作品をスローダウンし、ラングストン・ヒューズ(Langston Hughes)の詩とともに再解釈したアルバム『Plays Coltrane and Langston Hughes』の楽曲を披露します(本作は2024年にUnsoundから再発され、高い評価を受けています)。
ポーランドのマルチな演奏家/作曲家 ピオトル・クレク(Piotr Kurek)は、ソロ作品『World Speaks』やUnsoundからリリースされた『Smartwoods』などで知られていますが、他の多くのアーティストとのコラボレーションでも知られます。Unsound Osakaでは、そのコラボレーションの精神を携え、世界でも類を見ないアンダーグラウンドの象徴的存在であるジム・オルーク(Jim O’Rourke)と石橋英子と共演します。石橋は多彩なソロ作品のほか、濱口竜介監督のアカデミー賞受賞作『ドライブ・マイ・カー』や続編『悪は存在しない』など映画音楽も手がけており、ジム・オルークはGastr Del Sol、Stereolab、Wilco、Sonic Youthなどと共演歴があるほか、フックに富んだロックから繊細なミュジーク・コンクレートまで幅広いソロ作品を発表しています。
このプログラムは、「Poland. Heritage that Drives the Future(ポーランド。未来を躍動させるレガシー)」をテーマとしたポーランド・パビリオンのプログラムの一環として、ポーランド投資・貿易庁が主催する「ポーランド文化週間」の一部として実施されます。

Unsound Osaka 出演者プロフィール

2K88 – live feat. ralph

かつて「1988」として知られていた、ジャンルを自在に行き来する実験的プロデューサー、プシェミスワフ・ヤンコヴィアク(Przemysław Jankowiak)は、「2K88」名義のもと、UKベース・ミュージックの残音と90〜00年代ポーランド・ラップのノスタルジーを融合させた、国境を超えるカルチャーの坩堝ようなサウンドを生み出している。Unsoundレーベルからリリースされたデビューアルバム『SHAME』は、Boomkatによって「ポーランドの活気あるハイブリッドなクラブ・シーンの現在地を示す作品」と評された。苦しみに満ちた郷愁と不穏な未来感が、研ぎ澄まされた感覚の中で繵り交ざっている。プロデューサーとして、2K88はポーランドのインディー音楽シーンのスターたちともコラボしており、今回は日本のヒップホップ・シーンで着実に評価を高める注目のラッパーのralphをゲストに迎えてパフォーマンスを行う。

Antonina Nowacka


「声は、最も美しく、最も響き渡る楽器です」と語るアントニナ・ノヴァツカ(Antonina Nowacka)は、3作目となるソロアルバム『Sylphine Soporifera』をそのように表現している。ポーランド出身のサウンドアーティスト/作曲家である彼女は、その力強い声を核に、これまで高く評価される一連の作品群を築き上げてきた。『Lamunan』ではインドネシアの洞窟にこもって制作を行い、万華鏡のように多彩な音像をもつこのアルバムでは、1970年代のニューエイジ的なサウンドの上にヒンドゥスターニー音楽の声楽技法を取り入れている。2023年には、デンマークのアーティスト、ソフィー・バーチとの共作による『Langouria』をMondojおよびUnsoundから発表。そして今年、新作『Hiraeth』をリリースした。この作品は、ポーランドの田園地帯で制作され、オープンリールに直接録音されたものであり、原点回帰とも言える郷愁と夢想に満ちたアルバムとなっている。

∈Y∋ & C.O.L.O – A/V show


∈Y∋は1986年に大阪でバンドBoredomsを立ち上げて以来、『Super æ』や『Vision Creation Newsun』などジャンルの境界を打ち壊す作品を続々と世に送り出し、世界中にカルト的なファンを持つ存在となっている。また、無数のドラマーを集めて挑んだ壮大な「Boadrum」シリーズでも知られている。Sonic YouthやJohn ZornのNaked Cityのほか、UFO or DieやPuzzle Punksなどのプロジェクトにも参加している。今回のUnsound Osakaでは、マルチメディアA/Vコレクティブ「Cosmic Lab」の創設者でもあるビジュアル・アーティストC.O.L.OとのA/Vショーを上演する。C.O.L.Oはテクノ元祖Jeff Millsとの合作『THE TRIP – Enter the Black Hole』や、∈Y∋との前作『FINALBY()』などで、魅惑的で幻覚的な体験を作り上げてきた。

Włodzimierz Kotoński Remixed by Jim O’Rourke & Eiko Ishibashi


Jim O’Rourke & Eiko Ishibashi

2023年のツアー音源を編集・再構築した最新作『Pareidolia』(Drag Cityより2024年リリース)でその創造性を改めて印象付けたジム・オルーク(Jim O’Rourke)と石橋英子が、今回はポーランドの作曲家/教育者/音楽理論家であるヴウォジミエシュ・コトンスキの作品に、自らの独自の手法でアプローチする特別公演を行う。コトンスキは、20世紀ポーランドでもっともラディカルな音楽家のひとりとされ、テープ音楽、ライブ・エレクトロニクス、シンセサイザー音楽、コンピュータ音楽といった分野を切り拓いた先駆者である。彼はポーランド国内外で作曲や電子音響の技術を教えながら、数多くの実験的作品を生み出してきた。1959年に発表した『Etiuda na jedno uderzenie w talerz』はポーランド初の電子音楽作品であり、1989年には電子音響の手引き書『Muzyka elektroniczna』を著している。

KAKUHAN & Adam Gołębiewski


goat(JP)やソロプロジェクトYPY名義で知られる日野浩志郎とチェリスト・中川裕貴によるデュオ・プロジェクト、KAKUHANは、2020年代初頭に行われた即興録音セッションをきっかけに始動した。「攪拌」を意味するこのユニット名の通り、KAKUHANはそれ以前にも何度も共演していた二人による、より深く、ジャンルの境界を超えた音の融合を体現している。伝統と現代、ぎくしゃくとしたクラブ・リズムとクラシカルな要素が交錯するそのサウンドは、日野が運営するレーベルNAKIDからリリースされたデビュー・アルバム『Metal Zone』で最も鮮明に表れている。ポーランドの実験音楽家アダム・ゴレンビエフスキ(Adam Gołębiewski)は、2023年にKAKUHANと初共演。ヨーコ・オノ、ケヴィン・ドラム、マッツ・グスタフソン、サーストン・ムーアらとの共演を通じて研ぎ澄まされた彼のダイナミックなパーカッションは、KAKUHANのサウンドに新たな次元をもたらした。彼らのコラボレーションは、Unsoundレーベルからリリースされるアルバム『Repercussions』に収録されており、大阪でのライブはリリースを記念する日本初公演となる。

Keiji Haino Performs on Bachet Sound Sculptures


灰野敬二のパフォーマンスは、常に何が起こるかわからない。その予測不可能さこそが、彼を半世紀以上にわたり、日本のアンダーグラウンド・シーンにおける圧倒的な存在たらしめてきた理由である。これまでに200枚以上の音源を発表し、2,000回を超えるライブを行ってきた灰野は、代表的プロジェクト「不失者」を通じて実験的サイケデリックの基準を打ち立てただけでなく、ジャズ、フォーク、ノイズ、即興、ドローン、電子音楽など、ジャンルを越えて革新とコラボレーションを重ね、多くのアーティストに影響を与えてきた。彼のソロ・パフォーマンスは特に高い支持を集めており、毎回その内容はまったく予測がつかない。オーケストラの楽器を駆使したり、古代の伝統楽器を演奏したり、シンセサイザーやドラムマシンを並べて即興を行ったり、繊細で心に響くバラードを再解釈することもある。どのような形であっても、その体験は常に圧倒的だ。Unsound Osakaでは、1970年の大阪万博のために制作され、「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」展にも展示されている《バシェ音響彫刻》を用いた特別なパフォーマンスを披露する。

Robin Fox presents TRIPTYCH


ロビン・フォックス(Robin Fox)は、ライブ・パフォーマンス、展覧会、パブリックアート、コンテンポラリーダンスのための作曲など、さまざまな分野で活動する、オーストラリア拠点のオーディオビジュアル・アーティスト。過去30年にわたり、彼の創作の中心には常に「ノイズ」があり続けている。これまでに60都市以上で上演されてきた、代表作であるオーディオビジュアル・レーザー作品では、音と“可視化された電気”を完全に同期させ、立体空間を音と光で満たす没入型のインスタレーションを展開。《TRIPTYCH》は、リアルタイム・パフォーマンスのために時空間を“彫刻”するAVシリーズの最新作であり、2022年末にUnsoundクラクフにて初演された。ポーランド系オーストラリア人であり、レーザーアートの先駆者でもあるスタニスワフ・オストヤ=コトコフスキの作品に着想を得ており、2023年にはアルス・エレクトロニカにおいて冨田勲特別賞を受賞している。また、フォックスは電子音楽の歴史的な楽器群を一般に公開し、誰もが自由にアクセスできるようにすることを目的とした非営利団体「MESS(Melbourne Electronic Sound Studio)」の共同設立者でもある。1975年から1979年にかけてのメルボルンにおける実験音楽の歴史についての修士論文を執筆しており、モナシュ大学にて電子音響作曲の博士号を取得している。

FUJI|||||||||||TA & Ka Baird present Where Does Fire End?


FUJI|||||||||||TAが2023年にUnsound Krakowで披露したパフォーマンスでは、彼の特製の自作パイプオルガンではなく、新たに自作された巨大なパイプを使ったリズミカルな演奏が、朝の時間帯「Morning Glory」の観客を魅了した。日本の雅楽を想起させつつ、現代の電子音楽のサブジャンルを同時に感じさせる、新たな音の地平を示しました。米国拠点のマルチ奏者カー・ベアード(Ka Baird)もまた同フェスティバルで幻惑的なパフォーマンスを披露。話題作『Bearings: Soundtracks for the Bardos』の世界をさらに拡張するように、変幻自在の声による歪曲と憑依的な演奏を展開した。この二人が初めて共演する本公演では、それぞれの個性を即興で融合させ、エクスタティックで特異な音世界を生み出す。Unsoundの依頼によって特別に制作された作品の初上演。

RP Boo & Gary Gwadera


ゲイリー・グヴァデラ(Gary Gwadera)のソロ名義で知られる、ポーランドのドラマー、ピョートル・グヴァデラ(Piotr Gwadera)が初めてフットワークを聴いたとき、それは背筋がぞくりとするような発見だった。シカゴ発祥のこのジャンル特有のシンコペーションとポリリズムは、アメリカ中西部以外の多くのリスナーにとって新鮮に響くかもしれないが、グヴァデラの耳にはどこか懐かしさがあった。それは、ポーランドの農村で親しまれてきた三拍子の民族舞踊「オベレク」のリズムだった。彼はこんな想像をするようになる。もしシカゴに渡ったポーランド移民たちが、現地のアフリカ系アメリカ人コミュニティと出会い、共に食卓を囲み、それぞれの祖先のビートを交換し合っていたら。そんな「もうひとつの歴史」を夢見るようになったのだ。その夢が、Unsound Osakaで現実となる。2024年に発表された傑作『Far, far in Chicago. Footberk Suite』でもそのビジョンを示したグヴァデラと、シカゴ・フットワークの伝説的存在であるRP Booとの共演が実現するのだ。ミニマルなジャズ、ではなく「ジャズ風=jaz」ドラムキットにRolandのドラムマシン・サンプルを仕込んだグヴァデラと、ターンテーブルを操るRP Boo。両者による異文化の交差点。ベース・ミュージックの地平に風穴を開けるような、架空と現実を行き来する実験になるだろう。

Raphael Rogiński plays John Coltrane and Langston Hughes


ポーランドの作曲家、演奏家、即興演奏家であるラファエル・ロジンスキー(Raphael Rogiński)は、フォークやブルース、ジャズ、クラシック音楽など多様なスタイルを取り入れたソロ作品とその演奏で高く評価され、世界的にも唯一無二なギタリストのひとりとして知られる。Unsound Osakaでは、2015年に発表されたアルバム『Plays Coltrane and Langston Hughes』の楽曲を披露する。同作は2024年、Unsoundによって再発され、大きな反響を呼んだ。アルバムでは、伝説的サクソフォン奏者でありバンドリーダーでもあったジョン・コルトレーンの楽曲を大胆に解体・再構築しながらスローダウンさせ、ハーレム・ルネサンスを代表する詩人、ラングストン・ヒューズのテキストを用いた楽曲も展開している。

Jim O’Rourke, Eiko Ishibashi & Piotr Kurek


ポーランドのマルチ奏者/作曲家ピョートル・クレク(Piotr Kurek)は、2022年にリリースされたソロアルバム『World Speaks』、2023年にUnsoundからリリースされた『Smartwoods』などの作品で知られるが、長年にわたり多くのコラボレーションも行ってきた。Hubert ZemlerとのPiętnastka、Francesco De GalloとのAbrada、Marcin StefańskiとのŚlepcyなど多様なユニットで活動している。最近では、日系アメリカ人即興奏者パトリック・シロイシとの共作『Greyhound Days』(Mondojより2024年)も話題となった。Unsound Osakaでは、ジム・オルーク(Jim O’Rourke)と石橋英子という、世界のアンダーグラウンドシーンを牽引する二人の音楽家と共演。二人はそれぞれのソロ活動でも、また互いのプロジェクトでも数々のコラボレーションを重ねてきた。石橋はDrag CityやBlack Truffleなどから作品を発表する一方、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』などの映画音楽も手がけている。オルークは、Gastr del Solの一員としてポストロックを切り拓き、StereolabやWilco、Sonic Youthなどのプロデュースを務め、緻密なロックから繊細なミュジーク・コンクレートまで幅広いソロ作品群を発表している。

Rai Tateishi (Live processing by Koshiro Hino)


日本の過疎地にある村で、ほぼ隠遁生活のように暮らす立石雷は、自らの楽器と深く向き合い、音の限界を追求し、その表現を深化させてきた。彼は、古代から伝わる竹製の笛「篠笛(しのぶえ)」の名手であり、伝統芸能集団「鼓童」やアンダーグラウンドでカルト的支持を集めるバンド「goat (jp)」のメンバーとしても活動している。だが、彼の真価が発揮されるのはソロ活動においてであり、特に日野浩志郎のプロデュースによる2023年のソロデビュー作品『Presence』(2023年)では、重ね録りなしで篠笛の音に自由奔放な尺八、ケーン(ラオスの伝統楽器)、アイリッシュ・フルートを組み合わせることで、ユニークで生々しい音世界を作り上げた。Unsound Osakaでは、その『Presence』のパフォーマンスを、goatの盟友・日野浩志郎によるライブプロセッシング音響処理とともに披露。身体と音、伝統と即興、過去と未来が交差する、鮮烈なセッションとなるだろう。

Hania Rani presents Chilling Bambino


ロンドンを拠点とするピアニスト、作曲家、シンガーのハニャ・ラニ(Hania Rani)は、ポーランドで生まれ育ち、ワルシャワにてクラシック音楽の教育を受けた後、ベルリンへと移住した。ヨーロッパのクラブカルチャーの中心地である同地にてエレクトロニック・ミュージックに魅了され、やがて自身の繊細で装飾的なソロピアノ作品に、精緻な電子音響を融合させる手法を確立するに至った。映画やテレビの分野でも広く知られ、イングランド代表戦を中継するITVに音楽を提供するなど、ラニは静謐ながら圧倒的な存在感を放つアーティストである。また「Chilling Bambino」の名義では、より実験的に電子音を探求。愛用するProphetシンセサイザーを駆使し、浮遊感あるメロディにサイケデリックなリズムを重ねることで、自由奔放な音楽世界を展開している。

ralph


1998年横浜生まれ、日本のヒップホップ・シーンで着実に評価を高める注目のラッパーのralphは、2020年にリリースしたセカンドEP『BLACK BANDANA』でその地位を確立し、いま最も注目される日本のラッパーの一人である。若手ラッパーたちが賞金をかけて競い合うオーディション・プロジェクト『RAPSTAR 2020』で熾烈な戦いを制し、ブレイクのきっかけとなったシングル「Selfish」は100万回以上の再生数を記録した。翌年には初のミックステープ『24oz』を発表し、ハードコア・バンドのCrossfaithとのコラボレーションや、ソロ・パフォーマンスも精力的に展開している。

WACOCA: People, Life, Style.

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