カナダのカーニー首相は5日、対米報復関税の一部を撤廃するかどうか検討する考えを示した。カーニー氏は4月の総選挙で対米強硬路線を掲げ、与党・自由党を勝利に導いていた。

  カーニー氏は報復関税による米国への影響を最大限に高める一方で、国内企業への打撃はできる限り抑える必要があると説明。米国の関税引き上げに対しては「われわれは機械的に調整するのではなく、国内業界にとって最も効果的な措置を検討する」と述べた。

  その上で、「場合によっては関税撤廃もあり得る。これまでも、自動車産業の効率性向上などを目的に一部の関税を撤廃してきた。今後もそうした機会を探っていく」とブリティッシュコロンビア州ウェストケロウナで語った。

Prime Minister Mark Carney Holds News Conference

オンタリオ州ハミルトンで演説するカーニー首相(7月16日)

Photographer: Arlyn McAdorey/Bloomberg

  今回の発言は、トランプ氏への強硬姿勢を維持しつつ、国内経済への打撃を最小限に抑えようとするカーニー氏の難しい立場を浮き彫りにしている。

  トランプ氏は幅広い関税を課す一方で、「カナダは米国の51番目の州になるべきだ」と発言し、多くのカナダ国民の怒りを買った。世論調査では、カナダの有権者の多くが、貿易交渉での強硬姿勢を支持している。

  一方で、経済学者や企業、州首相の一部からは、対米関係の一段の悪化を警告する声も上がっている。カーニー氏は対米報復関税に例外措置を設けることで影響を緩和しようとしてきた。

  カーニー氏は4月、カナダ国内での投資・生産の継続を条件に自動車メーカーへの報復関税の適用を免除すると発表した。米国はその後、対カナダ関税の一部を引き上げたが、カナダは報復措置を取っていない。

原題:Carney Says He’ll Look at Opportunities to Remove Tariffs (1)(抜粋)

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