インド科学技術省 (MoST)は7月2日、科学技術庁(DST)傘下のナノ・ソフト物質科学センター(CeNS)とアリーガル・ムスリム大学との共同研究により、現代のエネルギー貯蔵の中核を成すスーパーキャパシタの性能を劇的に向上させる次世代のエネルギー貯蔵材料を開発したと発表した。研究成果は学術誌Journal of Alloys and Compoundsに掲載された。

Crystal configuration of Lanthanum-doped silver niobate and the photograph demonstrating the supercapacitor device successfully powering an LCD display
(出典:PIB)

スーパーキャパシタはバッテリーよりも高速だが、エネルギー貯蔵量においてはしばしばバッテリーに遅れをとる。そのため、研究者らは速度や寿命を犠牲にすることなく貯蔵量を増やすことができる材料の研究を進めてきた。

CeNSのカビタ・パンディ(Kavita Pandey)博士率いる研究チームは、優れた電気特性を持つ鉛フリーで環境に優しい材料であるニオブ酸銀(AgNbO3)に注目した。AgNbO3に有益な電子特性で知られる希土類元素ランタン(La)をドーピングすることで、AgNbO3粒子が縮小し、エネルギー貯蔵のための表面積を拡大させることに成功した。これにより電気伝導性が向上し充放電速度が高速化、さらに長期間の使用後も初期容量の118%を維持し、使用中のエネルギー損失ゼロでクーロン効率100%という優れた性能を実現している。

開発チームはこの材料を用いた非対称スーパーキャパシタのプロトタイプを作成し、LCDディスプレイの電力供給に成功、実用化の可能性も示された。今後は他のペロブスカイト材料への応用や生産スケールの拡大に向けた研究が進められ、商業利用の実現を目指す予定だ。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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