29日の日本市場は株式が下落している。半導体関連銘柄の収益を懸念した売り注文が先行している。債券は上昇(金利は低下)。
トランプ米大統(中央)
Photographer: Tolga Akmen/EPA/Bloomberg
日本株は3日連続で値下がりしている。需要減からモルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を下げた半導体製造装置のレーザーテックが一時9%近く下落するなど電気機器の指数押し下げ寄与が大きい。2年債入札を波乱なく終えて債券は小幅上昇、ドル・円相場はイベント待ちで大きな方向感は見えない。
トランプ関税を巡って米中の通商交渉が進んでおり、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日本銀行の金融政策決定会合、日米主要企業の決算や経済指標を週内に控えて金融市場はいったんポジションを調整する動きになっている。日本の政局も動きつつある。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは日本株について、大幅高後のスピード調整局面が続きやすいと予想した。米国株高に対するリスクを見極める上で、米大型テクノロジー企業の決算と米金融政策を見極めることになりそうだとしている。
国内株式・債券・為替相場の動き-午後1時58分現在東証株価指数(TOPIX)は前日比0.9%安の2903.62日経平均株価は1%安の4万0594円77銭長期国債先物9月物は前日比12銭高の137円93銭新発10年国債利回りは1.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.55%円は対ドルでニューヨーク終値比0.1%高の148円35銭株式
株式市場は3日続落。ハイテク株の下落が主因で、企業業績の悪化に対する懸念が背景にある。日銀決定会合を控える警戒と石破茂首相の退陣の可能性を懸念も市場に重くのしかかった。
関連記事:レーザーテク株急落、モルガンMUFG投資判断下げ-装置需要が減少
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は「半導体製造装置から悪い決算が出ており、証券会社から売り推奨的なものが出ているため、その辺はあまりよろしくないだろう」と述べた。「AI(人工知能)半導体の決算は悪くないと思うが、それ以外の業績はあまりポジティブにみられていない」としている。
銀行株は日銀政策会合を前に様子見的な売りが出たとして、政局に関する懸念もあるとも指摘した。
関連記事:さくらイン株ストップ安売り気配、営業益9割減額-AI大型案件終了
債券
債券相場は先物や中長期債が上昇。2年国債入札が順調な結果となり、中期債を中心に買い安心感が広がっている。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは2年債入札について、最低落札価格は市場予想よりも高いところで決まり、応札倍率は4.47倍と約半年ぶりに4倍台に上昇したとし、「しっかりした結果」と述べた。
背景として稲留氏は「先週末の年内日銀利上げ観測報道でそれほど債券が多く売られなかったことによって金利の先高感が強まっていない状態で入札を迎えたことができた点が挙げられる」と述べた。
関連記事:2年債入札は強い結果、応札倍率は昨年10月以来の高水準
入札結果によると最低落札価格は100円11銭と、市場予想100円09銭を上回った。小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は5厘と前回の1銭2厘から縮小した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は4.47倍と2024年10月以来の高水準となった。
関連記事:日本債券:2年利付国債の過去の入札結果(表)
為替
円は1ドル=148円台前半で推移。米中関税交渉や米連邦公開市場委員会(FOMC)などのイベント待ちでもみ合っている。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは「FOMCと日銀会合を前にポジションを大きく動かす時間帯ではない」と語った。米国と欧州連合(EU)の関税交渉合意後のドル高地合いに加え、依然大きな円買いポジションを取り崩す動きが出れば、ドル・円は短期的に150円を目指す場面があるかもしれないと言う。
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートに、米が対中関税下げで合意したり、関税発動の一時停止期限が延長されたりすれば再びリスクオンとなる可能性があり、ドル・円には米金利と米株価の上昇の両面から上昇圧力となり得ると記した。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
WACOCA: People, Life, Style.