週刊地震情報 2025.7.27 長崎県で8年ぶりに震度4 箱根・芦ノ湖では地震が頻発
2025/07/27 10:10 ウェザーニュース
この1週間に国内で観測された有感地震の回数は、前週に比べると大幅に減少しました。トカラ列島近海の地震活動がだいぶ落ち着いたことが影響しています。北海道から九州、奄美地方にかけて広範囲で地震が起きていて、震度3以上の地震は5回発生しました。(7月21日〜27日10時の集計)
国内:長崎県で8年ぶりに震度4の揺れ
25日(金)11時17分頃、長崎県南西部を震源とするマグニチュード4.8、深さ9kmと推定される地震が発生しました。この地震で長崎県諫早市、雲仙市で最大震度4、長崎市、大村市、南島原市、東彼杵町、熊本県天草市、和水町、長洲町で震度3を観測しています。
長崎県内で震度4以上を観測する地震は2017年6月以来8年ぶり、長崎県南西部を震源とする地震に限定すると、1984年以来41年ぶりです。地震のメカニズムは北北東ー南南西方向に張力軸を持つ正断層型と解析されています。
長崎県の島原半島から橘湾にかけては雲仙断層帯が分布していて、マグニチュード4〜5クラスの地震がしばしば発生しています。雲仙断層帯の地震のうち、橘湾で発生したものとしては1922年に発生したマグニチュード6.9の「島原地震」があり、島原半島南部を中心に大きな被害をもたらしました。
政府の地震調査研究推進本部は雲仙断層帯が活動した場合、マグニチュード7を超えるような地震が発生する可能性があるとしています。
箱根・芦ノ湖付近を震源とする地震が多発
23日(水)21時49分頃、神奈川県西部を震源とするマグニチュード3.8、深さ5kmと推定される地震が発生しました。この地震で神奈川県小田原市、箱根町、静岡県熱海市、伊豆市、伊豆の国市、沼津市などで震度2を観測しています。
箱根・芦ノ湖付近では小さな地震を含めると20日(日)頃から地震が頻発し、21日(月)にマグニチュード3.1、最大震度2の地震が発生しました。
マグニチュード3クラスの地震が起きた21日(月)、23日(水)は地震回数が増加し、26日(土)までの合計では98回の地震を観測しています。
噴火に大きく関係するとされる低周波地震や火山性微動、地殻変動は観測されていません。25日(金)以降は地震活動も落ち着き、すぐに噴火につながるような活動ではないとみられます。
世界:南太平洋でM6.6の深発地震
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は7回発生しています。最も大きな地震は、南太平洋サモアの近海で発生したマグニチュード6.6です。
日本時間の25日(金)朝に南太平洋のサモア近海を震源とするマグニチュード6.6、深さ約314kmと推定される地震が発生しました。
地震のメカニズムは北東ー南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、横ずれ成分を含んでいるとみられます。震源が非常に深い深発地震だったため揺れによる影響はなく、津波も発生していません。
南太平洋は太平洋プレートとオーストラリアプレートの境界にあたり、規模の大きな地震が多い領域です。プレート同士の動きが複雑なため、津波を引き起こすような浅い地震と、深発地震がともに発生します。今回の震源近くでは2023年にマグニチュード7.6、深さ約210kmの規模の大きな深発地震が発生した一方で、2009年にはマグニチュード8.1、深さ約18kmの浅い震源の巨大地震が起きました。
出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
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