この20年間、筆者は「Linux」をできる限り積極的に広めようとしてきた。うまくいったと感じることもあれば、自分ひとりだけがLinuxを推しているように思えることもあった。

 その過程で、人には言えないような数多くの結論を導き出してきたが、その中には、この旅を始めた当初から変わらず持ち続けているものもある。筆者は、それらの結論が一般ユーザーにとってLinuxを「標準のOS」として受け入れやすくするための助けになると信じている。

 もちろん、こうした主張が「ドッカーン」と書かれた旗を掲げる宇宙人からのメッセージのように聞こえることは承知している。そこで本記事では、筆者が長年温めてきたLinux普及のためのアイデアを紹介したい。

1. 「Welcome」(ようこそ)アプリを追加する

 一部のディストリビューションではすでにWelcomeアプリを採用しているが、その効果はまちまちである。うまく活用しているディストリビューションでは、新規ユーザーにとって非常に有益なサービスを提供している。Welcomeアプリは、Linux(とそのディストリビューション)の概要を紹介し、アプリストアや設定などの重要な機能へのリンクを表示するほか、使い方のヒントを提示したり、テーマやデフォルトブラウザーの選択を支援したり、推奨ソフトウェアを案内したりする。

 こうした機能は、特に初心者向けのディストリビューションにとって歓迎すべき追加要素であり、むしろ必須機能と考えるべきだろう。まだWelcomeアプリを導入していないディストリビューションは、この課題に真剣に向き合い、設計と開発に十分な時間と労力をかけるべきである。

2. 「Snap」や「Flatpak」のサポートをGUIアプリストアに組み込む

 これらのユニバーサルパッケージマネージャーに否定的な意見があることは理解しているが、実際には、ユーザーが必要とする(プロプライエタリーな)ソフトウェアのインストールを可能にする重要な手段である。初心者ユーザーにSnapやFlatpakを自分でインストールさせ、さらにアプリストアに統合させるよう求めるのは、あまりにも負担が大きい。例えば、多くのユーザーが「Slack」を使ってコミュニケーションや共同作業を行っている。

 FlatpakやSnapがあらかじめインストールされていれば、ユーザーはアプリストアを開いてSlackを検索し、ワンクリックでインストールできる。CanonicalがSnapを強制したことによる議論はさておき、ユーザーにとって重要なのは、必要なソフトウェアを迅速かつ簡単に導入できることだ。

3. NVIDIAとAMDそれぞれのGPUドライバーを用意する

 筆者の知る限り、GPUドライバーの提供を適切に行っているディストリビューションは、System76が開発する「Pop!_OS」である。このディストリビューションでは、NVIDIAまたはAMDのGPUに対応したドライバーを含むISOファイルをダウンロードできるようになっている。全てのディストリビューションがこの方式を採用すべきだと筆者は考えている。

 あるいは、インストール時にシステムが搭載されているGPUを自動検出し、最適なドライバーをダウンロードしてインストールまで自動で行う仕組みである。こうした作業をユーザーに任せるべきではない。Linuxに不慣れなユーザーにとっては、思わぬトラブルの原因になりかねないからだ。初心者が初回ログイン時から快適に使える環境を整えることが重要である。ディスプレーの表示が不適切な状態で、問題解決のために時間をかけて調査しなければならないような状況は、避けるべきである。

4. ワンクリックのインストールプロセスを作成する

 これは素晴らしいインストールオプションになるはずだ。例えば、初心者ユーザーがISOファイルを起動すると、「Easy Installation(簡単インストール)」と「Standard Installation(標準インストール)」の2つの選択肢が表示される。前者では、システムがハードウェア構成を自動検出し、最適な設定を選択してくれる。ユーザーは「Install(インストール)」ボタンをクリックするだけでよく、インストールが完了したら再起動後に新規ユーザーの作成画面が表示される。

 ユーザーがアカウントを作成すれば、すぐにLinuxを使い始められる。このようなオプションは初心者にとって非常にありがたいものであり、「Linuxがワンクリックでインストールできるようになった」と驚いてもらえるだろう。これは大きなメリットになるはずだ。

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