ウクライナに対して強硬な姿勢を崩さないロシアのプーチン大統領(写真:代表撮影/AP/アフロ)
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り1バレル=66ドルから69ドルの間で推移している。需要に対する懸念と地政学リスクが交錯し、価格のレンジ圏は先週とほぼ同じだった。
まず原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。
OPEC(石油輸出国機構)は7月15日に公表した月報で「OPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)の6月の原油生産量は前月比34万9000バレル増の日量4155万9000バレルだった」ことを明らかにした。予定されていた日量41万1000バレル増を下回った。OPECの原油生産量は前月比22万バレル増の日量2724万バレルだった。
OPECプラスの中で最も増産したのはサウジアラビアだ。前月比17万3000バレル増の日量936万バレルだった。
サウジアラビアの増産について国際エネルギー機関(IEA)は異なる見解を示した。11日に発表した月報で「サウジアラビアの6月の原油生産量は前月比70万バレル増の日量980万バレルであり、追加供給分の7割が輸出された」と指摘した。
これに対し、サウジアラビアのエネルギー省は11日「生産量が割り当て枠(日量936万バレル)を上回ったことは事実だが、超過分は国内にも海外にも販売されておらず、すべて備蓄された」と反論している。
サウジアラビアはイスラエルとの衝突でイランの原油供給が減ることを想定して増産に舵を切ったが、イランの石油インフラが無傷であったため、当てが外れてしまったようだ。
サウジアラビアとは対照的にロシアの原油生産は抑制気味だ。
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