来年、本州では初めて能登地方で放鳥することが決まった、国の特別天然記念物のトキについて、16日、石川県や地元自治体でつくる協議会が開かれ、石川県羽咋市の邑知潟周辺で放鳥することを正式に決定しました。
石川県輪島市で開かれた協議会には、県や能登地方の9つの市と町、それに農林業関係者などの代表20人余りが参加しました。
このなかで、来年6月ごろに能登地方で放鳥することが決まっている国の特別天然記念物のトキについて、羽咋市南潟地区の邑知潟周辺で放鳥する案を県の担当者が提案しました。
担当者の説明によりますと、南潟地区はトキの活動範囲となる2キロ圏内におよそ1185ヘクタールの水田があり、来年、放鳥が予定される15羽から20羽の餌場としては十分な広さで、トキの野生復帰が進む新潟の佐渡に匹敵する環境が整っていると判断したということです。
そして、参加者による審議が行われ、トキの放鳥場所は羽咋市南潟地区とすることを全会一致で決定しました。
協議会のあと石川県の馳知事は「被災地のみなさんにとって今回の決定は大きな朗報だと思う。放鳥したあと安定的に定着していけるよう県として、できる限りの支援を継続していきたい」と述べました。
【本州初のトキ放鳥 佐渡のトキの観察施設では】
本州で初めて行われる国の特別天然記念物トキを放鳥する場所が石川県羽咋市の邑知潟周辺に決まったことを受け、佐渡市にあるトキの観察施設では今後の繁殖に期待する声などが聞かれました。
来年、本州では初めて能登地方で放鳥することが決まった、国の特別天然記念物のトキについて、16日、石川県などでつくる協議会は石川県羽咋市の邑知潟周辺で放鳥することを正式に決定しました。
佐渡市にあるトキを観察できる施設、「トキふれあいプラザ」ではことし4月に2羽のトキのひなが誕生し、環境省によりますとこの2羽を含む全国の7施設で飼育している38羽が石川県で放鳥される候補だということです。
施設ではけさもトキの親子が池の中で餌のドジョウを捕まえて食べていました。
東京から訪れた60代の女性は「大事に育てられ無事に大きくなったあと、能登半島で子孫を増やしていってほしいです」と話していました。
一方、「佐渡トキ保護センター」で獣医師として30年余り勤め、現在はこの施設で獣医師を務める金子良則さんは「放鳥地が決まってもこれまでの経験が積み重なっているので慌てませんが、本州には仲間もいないので育てたトキを送り出すのは不安です。この2羽が放鳥された場合、とにかく生き抜いて次の世代につなげてほしいです」と話していました。
環境省によりますと、来年、放鳥されるトキは15羽から20羽の予定でことし全国の各施設で誕生したトキは10月から12月にかけて佐渡トキ保護センターに移送され放鳥する個体を選抜するということです。
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