ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレーなど国際的な銀行が、今年の中国経済成長率見通しを相次ぎ引き上げた。4-6月(第2四半期)の成長が予想を上回ったことを踏まえた。

  ほかにもバークレイズなどが2025年の中国国内総生産(GDP)成長率予測を5%に近い水準に引き上げた。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は、年間成長率を5.1%と見込んでいる。

  中国国家統計局が15日に発表した4-6月の実質GDPは前年同期比5.2%増となった。輸出の底堅さや消費・投資への政策支援により、米国の関税圧力にもかかわらず中国経済は予想外に堅調さを保っている。

  ただエコノミストらは、輸出の減速や消費者心理の落ち込みを背景に、成長が鈍る可能性が高いと警告している。

  また、デフレの悪化により名目GDP成長率は4-6月に3.9%と、四半期データの集計が始まった1993年以降、新型コロナウイルス流行期を除けば最も低い水準となった。

  当局は今、景気の勢いが失われる前に物価下落に対処するという難しい対応を迫られている。

  邢自強氏らモルガン・スタンレーのエコノミストは16日配布のリポートで、「デフレは主要なマクロ経済課題として依然として続いている」と分析。  

  このリポートによれば、政策当局による価格競争の抑制に向けた最近のシグナルは「正しい方向への一歩」だが、2015年のサプライサイド改革ほどの効果は見込めないという。背景には過剰生産能力の広がりや需要喚起策を支える財政的余裕のなさ、マクロ経済の弱さがあるとしている。

  1ー6月(上期)に前倒しされた輸出注文の反動や、財政刺激策の効果減退により、実質GDP成長率は7-12月(下期)に4.5%を下回ると予想。また、政策当局が今後、5000億元(約10兆4000億円)から1兆元の範囲で適度の財政刺激策を追加すると見込んでいる。

  楊宇霆氏らANZのエコノミストは、7-12月に純輸出の減少が成長率を0.5ポイント押し下げるとし、これを年後半における最大の成長リスクと位置付けている。

原題:Wall Street Banks Lift China Growth Outlook After Bright Quarter (抜粋)

WACOCA: People, Life, Style.

Exit mobile version