人工知能(AI)で生成したとみられる音声を利用し、ルビオ米国務長官になりすました何者かが複数の外相や米議員らに連絡を取っていたことが分かった。5月撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)
[8日 ロイター] – ロイターが8日確認した外交公電で、何者かが人工知能(AI)で生成した音声を使ってルビオ米国務長官になりすまし、他国の外相3人と米当局者2人に連絡を取っていたことが分かった。
3日付の公電によると、この人物は6月中旬、メッセージアプリ「シグナル」を通じて外相と米議員、州知事に連絡を取った。このうち少なくとも2人に音声メッセージが残されていたほか、テキストメッセージにはシグナル上での連絡を促す内容が記されていたという。
公電は「AIで生成したテキストや音声メッセージを使い、標的の個人を操り、情報もしくはアカウントへのアクセスを得ようとした公算が大きい」と指摘。今回の問題による直接的なサイバー攻撃の脅威はないとしつつも、「標的となった個人が不正アクセスを受ければ、第3者に共有された情報が漏えいする恐れがある」と警鐘を鳴らした。
米国務省高官は、同省が現在調査しているとし、「情報保護の責任を真剣に受け止めており、再発を防ぐためサイバーセキュリティ態勢の改善に継続的に取り組んでいる」と述べた。
米連邦捜査局(FBI)は5月、悪意のある人物がテキストメッセージやAI生成の音声メッセージを使って米政府高官になりすまし、州や連邦政府当局者の個人アカウントにアクセスしようとしていると指摘していた。
公電は容疑者を特定していないが、4月に起きた別の事案に言及。その際はロシアとつながりのあるハッカーが国務省職員を装い個人のGメールアカウントにメールを送り、シンクタンク、東欧の活動家や反体制派、元国務省職員らを狙ったフィッシング攻撃を行ったという。
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