10月30日に発売が予定されているスクウェア・エニックスの国民的RPG、「ドラクエ」こと「ドラゴンクエスト」と、その続編「ドラゴンクエストII」のHD-2D版「ドラゴンクエストI&II」。

 本稿は、本作が発売されるまでの間に、ファミコン時代の「ドラクエ」シリーズの懐かしいヨモヤマ話をお届けする連載第2回である。前回に引き続き、懐かしい思い出に浸りつつ楽しんでいただければ幸いだ。

当時について

 1986年5月27日、「週刊少年ジャンプ」に何度も特集記事が掲載され(※詳しくは前回の本連載をご覧ください!)、全国の子供たちから大いに注目されたであろう「ファミコン初の本格派RPG」、すなわち初代「ドラゴンクエスト」がついに発売されました。

 筆者の地元のおもちゃ屋さんにも早速入荷されたのですが、筆者は本作を買うことができませんでした。理由は簡単で、ソフトを買うお金がなかったから(苦笑)。本作は、当時のファミコン用ソフトでは最も高い5,500円であり、どんなに欲しくてもおいそれとは手が出せない「高級品」でした。そんな事情もあったので、本作を発売直後に買った筆者の友人はほとんどいなかったと記憶しております。

 発売日からしばらく過ぎたある日。おそらく同年の夏休み期間中だったと思いますが、本作を購入した数少ない友人のひとりに、初めてプレイしているところを見せてもらいました。主人公が城、町、ダンジョンなど、いろいろな場所を冒険する姿を見て「マップが広い!」と思ったことと、以前に遊んだことがある「ポートピア連続殺人事件」と同様に「コマンドをひんぱんに使うゲームだなあ……」というのが筆者の第一印象でした。

 敵モンスターとのバトルシーンに切り替わると、まるで「Dr,スランプ」か「ドラゴンボール」の世界に入り込んだかのようなカッコいいビジュアルも衝撃でした。敵を攻撃すると赤く点滅し、逆に敵の攻撃でダメージを受けると画面が揺れ動き、実際に殴られたかのような痛みを感じるほどの演出も迫力満点。サウンドも絶大なインパクトで、リコーダーに似た音色が奏でるフィールドのBGM、バトル中のスリル感を煽るBGM、城や町で会話するときなどのピッ、ピッという甲高い音も強く印象に残りました。

 その後、別の友人がソフトを貸してくれたので、自宅で連日夢中になって遊びました。ラダトームの町にいる男の人に話し掛けたら、海を挟んでラダトーム城の向こう側に見えるもう1つの城が、何とラダトーム王から討伐を命じられた最強の敵、竜王の居城なのだとか。近そうに見えて、いざ遊んでみると実は果てしなく遠い、最終目標地点がいきなり眼前に現れるマップ構成も、今なお忘れ難い景色となりました。

 あるとき、筆者は冒険の途中でHPもMPもほぼ尽き果てて大ピンチになったのですが、あらかじめ道具屋でアイテム「キメラのつばさ」を買っておいたおかげで、瞬時にラダトーム城に戻って態勢を立て直すことに成功しました。本作のマニュアルには、「旅のヒント」として「キメラのつばさ」を「持っててよかった! と思うときがくるにちがいありませんよ」と説明されていたのですが、そのアドバイスが大いに役立って感激したこともハッキリと覚えています。

 その後もマニュアルだけでなく、「週刊少年ジャンプ」をはじめ「ファミコン必勝本」「ファミコン通信」など専門誌の記事も参考にしつつ「ドラクエ」、ひいてはRPGの基本的なお作法を学びつつ、打倒竜王を目指して本作にハマり込んでいきました。

(次回につづく)

「マンガで振り返る○○の思い出」とは

 リメイク作品などの発売に合わせてオリジナル版の思い出や当時の背景などをマンガでユル~くふりかえるコーナーです。

絵:橘 梓乃

 ゲーム歴40年超のフリーライター。主な著書・共著は「ファミダス ファミコン裏技編」、「ゲーム職人第1集」、「デジタルゲームの教科書」、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」、「ナムコはいかにして世界を変えたのか ゲーム音楽の誕生」など。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表も務める。

テキスト:鴫原 盛之(フリーライター)

WACOCA: People, Life, Style.

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