ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.06.29 13:25

BYDなど「中国外」に突破口を求めている中国の電気自動車メーカーが南米のブラジルにまで手を伸ばしている。電気自動車初期市場であるブラジルで低価格を掲げてシェアを急速に伸ばしている。

業界とロイター通信などによると、BYDは今年だけで約2万2000台の車をブラジルに輸出したと推定される。世界の自動車市場でブラジルは特異な位置付けを持つ。1950年代からサトウキビの副産物を活用して燃料を代替しようとする試みが始まり、1970~80年代のオイルショックと親環境政策がかみ合わさり混合燃料(FFV)車の普及が本格化した。ブラジル政府はガソリンに一定の割合のエタノールを混ぜることを義務化し、現在は100リットルのうち27リットルをエタノールで充当しなければならない。この割合を30リットルに拡大する法案が25日に承認され8月から施行される予定だ。

政策の効果は販売台数でも確認できる。ブラジル自動車産業協会によると、昨年ブラジルの乗用車・軽商用車の新車販売のうちFFV車の割合は83%に達した。ディーゼル車は9.9%、電気自動車は4.3%、ガソリン車は2.8%水準だ。世界市場とは明確に異なる、「FFV強国」らしい数値だ。これに対し世界の自動車メーカーはFFV燃料を基盤としたブラジル特化モデルを発売し工場を建てる戦略を選んできた。現代自動車は2012年にブラジル工場を設立しFFV車の「HB20」を発売し、昨年だけでHB20を含め20万台以上を販売し販売台数4位に上がった。

◇低いブラジルの敷居、電気自動車市場を中国が先取り

これに対し中国の電気自動車メーカーはFFV中心の市場に挑戦するよりは普及初期にある電気自動車市場の先取りに集中している。中国内の供給過剰と欧州の最大45.3%の高率関税負担を避け、参入障壁が比較的低いブラジルを戦略市場に選んだのだ。

輸入規制が比較的緩い環境も中国企業には機会だ。ブラジル政府は2015年から輸入電気自動車に関税を課していなかったが昨年から少しずつ上げている。昨年1月に10%だった電気自動車の関税率は同年7月に18%に上がり、今年7月には25%、来年7月には35%まで引き上げられる予定だ。ブラジル産業界関係者はロイターに「世界は中国に門戸を閉ざしたが、ブラジルは開いている」と話した。

中国の電気自動車は価格を武器にブラジル市場で早くシェアを伸ばしている。昨年ブラジルで販売された電気自動車はハイブリッドとプラグインハイブリッド含め17万7300台で前年比88.8%増えた。BYDはこのうち43.3%のシェアで1位、GWMは16.5%で2位を記録した。4.1%のチェリーまで含めば中国ブランド3社がブラジルの電気自動車市場の63.9%を占める。2023年基準でブラジルの最低価格の電気自動車1位と2位はチェリーとJACのモデルだった。

中国の電気自動車メーカーの攻勢に既存の自動車メーカーの立ち位置はさらに狭まっている。価格では競争が不可能なためだ。現代自動車は「アイオニック5」をブラジルで販売しているがわずかな水準だ。韓国産業研究院のチョ・チョル研究委員は「開発途上国市場ではBYD水準の価格競争力がなければ参入さえ難しくなりかねない。米国では現地生産を、欧州では中国製との差別化を強調しなければならない状況で、韓国の電気自動車ブランドの立ち位置はますます狭くなっている」と分析した。

◇「現地特化」ハイブリッド開発続々

世界のメーカーは「エタノール(フレックス)ハイブリッド」で反撃を試みる。ハイブリッドは比較的購買力がある中産層の消費者にアピールでき、ブラジル政府の投資インセンティブも受けられるためだ。国際クリーン交通委員会(ICCT)によると、ブラジルで2023年1-3月期からの1年間で純電気自動車(BEV)の平均価格は46%下がったが、ハイブリッドは11%の下落にとどまった。プラグインハイブリッド(PHEV)はBEVより平均7万レアル(約186万円)高かった。

トヨタ、ステランティス、フォルクスワーゲンなどはブラジル向けのフレックスハイブリッド開発に数兆ウォン規模の投資を約束した。フィナンシャル・タイムズによると、昨年約770億レアル(約2兆円)の投資計画が公開された。現代自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長も昨年2月にブラジルのルーラ大統領と会い、2032年までに水素自動車、電気自動車、バイオ燃料ハイブリッド技術などに11億ドルを投資すると明らかにした。

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