米国とメキシコの貿易交渉で、同国からの鉄鋼輸入について一定の輸入数量まで低率の関税を適用する関税割当制度の導入の可能性が話し合われていることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。

  米国の鉄鋼メーカーの懸念を和らげる動きと見受けられる一方、米自動車メーカーなどが不可欠と見なすメキシコ産鉄鋼製品の一部に限り、高関税率の適用除外を認めることになる。2015-17年の対米輸出の平均をベースとする公算が大きいという。

A Steel Manufacturing Facility As Tariffs Delayed One Month

メキシコ市の製鉄工場でステンレス鋼のチューブを研磨する様子(2月6日)

Photographer: Mauricio Palos/Bloomberg

  こうした動きは、トランプ大統領が過去数カ月に打ち出した関税措置の適用除外や税率引き下げを求める各国・地域と交渉する上で、米国側が直面する課題を反映している。

  トランプ政権の交渉チームは、米製造業を復活させるという大統領の公約を実現する一方で、外国から輸入製品に長年依存している米国内の製造業者への打撃を和らげるという、相反する利害関係のバランスを取る必要性がある。

  トランプ氏は鉄鋼とアルミニウムの輸入関税率を50%に引き上げる措置に踏み切ったが、こうした高関税率の適用は米国の金属生産を後押しする反面、こうした金属を使用する製品の生産を阻害することになる。

  ホワイトハウスの報道官はこの件についてコメントしなかった。米商務省の担当者にコメントを要請したが、返答は得られていない。メキシコ経済省もこれまでのところコメントしていない。

  米商務省のデータによると、15-17年を基準にした場合の数量は約279万9228トンとなる。関係者の話では、合意で定めた上限を下回る鉄鋼輸入には50%の関税率は適用されないが、依然として10%の基本税率は適用される見込み。提案の上限は、米国の買い手が昨年メキシコから輸入した鉄鋼計319万4752トンの88%に相当する。

  関係者によれば、幾つかの課題で両国の協議は続いているものの、合意に向けて前進している。メキシコは米国にとって3番目に大きな鉄鋼の輸入元で、米国が国外から輸入する合金鋼のうち12%を占めている。

原題:US, Mexico Eye Import Quota in Trade Talks on Steel Deal(抜粋)

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