イラン情勢に詳しい慶應義塾大学の田中浩一郎教授は、イランがEU=ヨーロッパ連合などとの協議に臨むことについて「イスラエルが攻撃をしかけ、アメリカが脅しをかける中で相手に対しけん制をしながら、軍事的にむだな戦いをいつまでもするより、外交的な停戦や合意を望む思惑がある」と分析しています。
一方、この協議で事態を打開できるかについては「難しいと思う。イギリス、ドイツ、フランスはG7サミットでイスラエルを全面的に支持する声明を出していて、アメリカやイスラエル側の条件を受け入れて全面降伏しろという要求が出る可能性もある。イランは協議で自身の立場の正当性を説明したいと思うが、容易ではないだろう」と述べました。
トランプ大統領がイランへの軍事介入について「2週間以内に行動するかどうか決断する」と述べたことについては、「きょう、あすに軍事介入が始まるのではないことだけは御の字だ。トランプ大統領はイランに全面降伏を求めていたので、中間点を改めて模索する機会が設けられたというふうにイランは理解していると思う」と述べました。
イランが置かれている状況については「イランは硬軟両面での対応を迫られている。一つは、アメリカが参戦しないようにけん制し、実際に参戦したら何らかの対応をとらなければならないこと。もう一つは、今回のEU側との協議を通じて全面降伏ではない条件を勝ち取ることだ」と述べました。
そのうえで、「イランに不利な戦況が続き、トランプ大統領が交渉に全く聞く耳を持たない状況であれば、落としどころを模索するのは簡単ではない」と指摘し、イランにとって厳しい局面が続いていると指摘しました。
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