欧州連合(EU)は米国との新たな貿易交渉ラウンドを準備しており、トランプ米大統領が関税の威嚇を実行に移せば、報復措置を前倒しする可能性があると警告した。トランプ氏は先月末、鉄鋼・アルミニウムに課す追加関税を従来の25%から50%に引き上げると表明した。

  EUの執行機関、欧州委員会は2日、鉄鋼・アルミ関税引き上げに「強い」遺憾の意を表し、貿易摩擦解消の取り組みを損なうものだと主張した。

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  欧州委のギル報道官がこの日、記者団に明らかにしたところでは、シェフチョビッチ欧州委員(通商担当)が4日にパリでグリア米通商代表部(USTR)代表と会談する。米国側との実務協議継続のため、欧州委のチームがワシントンに向かっているという。

  ギル氏は「双方が受け入れ可能な解決策に至らない場合、EUの現行および追加的措置が7月14日、必要ならその前に自動的に発効する」と述べた。

  EUは米国の50%関税の発動期限である7月9日までに合意を取りまとめようと交渉を急いでいる。

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  EUは米鉄鋼・アルミ関税に対抗する形で、米国からの輸入品210億ユーロ(約3兆4300億円)相当への関税を既に承認済みで、迅速に発動できる体制を整えている。さらに米上乗せ関税や自動車関税への対応で、950億ユーロ相当の米製品を追加関税の対象に加える準備も進めている。

  ギル氏は「交渉が公正な合意に至らない場合、EUは直近の関税引き上げへの対応も含め、対抗措置を講じる用意がある」と語った。ただ交渉の余地を残すことを優先しており、関税の引き下げが引き続き長期的目標という。

原題:EU Warns It Could Accelerate Retaliatory Tariffs Over US Duties(抜粋)

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